「新長田を彩るプレイヤー 〜社員と共に追求する、靴の美学〜」 -Part2-
株式会社 ロンタム
取締役社長 神農 英道さま
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“靴の美学”の追求
-記者-
ファストファッションとどういう差別化をしていくか、というお話がありましたが、
差別化について具体的にどのように考えておられますか?
-神農さん-
それは、僕が“靴の美学”としていることで、いつもお客さんにも説明するんですけど
高くなくても、ブランドものでなくても
「よりよく見せる」ために、こだわりぬくことが“靴の美学“だと思っていて、
これを追求することが差別化につながると考えています
例えば、ファストファッションの靴もよくできてますけど
じゃあ、より一層それと違うものってなんやっていうと
靴の仕上がりの雰囲気ですよね
-記者-
見た目であったり、履いた時の感覚であったりということですか?
-神農さん-
履き心地もそうやし、見た目もそうやし
製造の工程だったりとかパーツなど、細部のどこまでこだわるのか
例えば他社が5工程で作るところをうちは8工程で作るとか
-記者-
それをすることでより丈夫になり、こだわりが見えてくるデザインになるということですか?
-神農さん-
そうですね
よりよく見せるしか勝つ方法がないんですよ
僕たちは自分で売ってるんじゃなくて取引先に売って、その取引先が消費者に売ってる形なんでね
僕たちはその取引先に対して僕らの美学をアピールする
この長田には競合他社がいっぱいあるわけじゃないですか
その同業者の商品よりもちょっとでもよく見せないと、取引先はどちらを買うのってなったときに、こっちの方がきれいやな、こっちの方が履き心地がいいなっていうので選ぶんで
価格ではもう競争できない、靴に対する美学がないことには、僕らも勝ち残っていけないので、常にそこに重きを置いています
-記者-
その美学を持ちはじめたのは神農さんご自身が何かをきっかけにそう考えられるようになったんですか?
-神農さん-
特にイタリア留学してから色々学びました
メイドインイタリーである有名ブランドは全部、僕らが考えてる美学なんかとは比べもんにならんほどの美学を持ってるから
そういうのを学ぶと、自分もどうせ作るんやったらいいものにより近づけたいと思って今日までやってきています
お金ではなくて美学を追っかけてきたんで、ありがたいことに今は素晴らしい会社さんばかりと取引させていただいけるようになったと思います
これからも美学を追い求めることは変わらず続けていきますね
昔は作ればある程度何でも売れた時代、数もたくさん作れてた時代もあったけど
今はほんとに淘汰されてきてるんで、美学を持ち備えていないと勝ち残っていけない
-記者-
その美学がお客さんにも伝わって勝ち残っていけるということですね
そういうお客さんたちが求めているものはやはりデザイン性だったり、履き心地であったり、様々な要望があるんですか?
-神農さん-
もちろん、全てです
大手アパレル会社さんも例えば中国や東南アジアでモノを作らせて仕入れた方が安いし、利益も大きいしってなるんですけど
各ブランドが日本の市況の中で生き残っていくってなったときに、海外製よりは日本製を仕入れたいということで
この近辺で辞められたり、なくなったりする会社が多くなればなるほど、僕らもモノが作れなくなっちゃうんで、そうなった時は生産側も卸売業者側も共倒れになってしまう
だからこそこだわらないと、
会社自体の生き残りもそうですし、長田の靴の産業を生き残らせることもできないんでね
靴の美学を追求した先にしか、我々が生き残る道はないんですよ
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