「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」のつくり方② - 勇者コマンド編
こんにちは、UXデザイナーの小林です。
2024年3月15日から4月14日まで、東京・有楽町のGOOD DESIGN Marunouchiで「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」が開催中です。この展示会は、ユーザーエクスペリエンスデザイン(以下UXデザイン)の面白さを、ゲームを通じて手軽に体感できるユニークなイベントです。
すでに多くの方が既に展示会を訪れてくれており、各々の発見や感動を共有してくれることを嬉しく思います。ありがとうございます!
さて、ここでは前回に続き、展示会で遊べるゲームのひとつ、「勇者コマンド 〜その選択が伝説になる〜」をご紹介します。
すでに展示会に足を運んでくださった方も、これから展示会にお越しの方も、ちょっとした裏話として楽しんでいただければ幸いです。
ゲーム紹介:勇者コマンド 〜その選択が伝説になる〜
「勇者コマンド」は、選択を通して、あなただけの結末を目指すRPGです。プレイヤーは、剣と魔法の世界における勇者となり、人類をおびやかす魔王と対決します。
選択が紡ぐ物語
プレイヤー自身の考え方を問う「選択」というUXデザインは、映画や小説などの受動的なメディアにはない、ゲームならではの魅力のひとつです。
「ドラゴンクエストV」における、いわゆるビアンカフローラ問題(後年のリメイク作では、さらに花嫁候補が加わりましたね)。
「UNDERTALE」における、プレイヤーの感情や倫理観に問いかけるルート分岐。
「デトロイト:ビカム・ヒューマン」における変化していくシナリオ。
例を挙げればキリがありませんが、多くの人のあいだで語り草となっている名作ゲームの多くでは、「選択」が効果的に使われています。
ストーリーに直接影響を与える「選択」でなくとも、どの武器やアイテムを使用するか? 左右どちらの道を選ぶか? 余計なブドウをどこに落とすか? など、例をあげればきりがありません。ゲームは、常にプレイヤーの考えを試す「選択」の集合体とも言えるでしょう。
そういった体験がなぜ心に残るのかと言えば、それはプレイヤーであるあなた自身の考え方が反映されているからではないでしょうか。日々の生活でのさまざまな選択が自分を形作るのと同じで、ゲーム内の選択もまた、あなた独自の体験を創り出します。
体験のポイント
「勇者コマンド」では、この「選択」を短いゲーム内でどう楽しむかを考えました。プレイヤーの倫理観や価値観に訴える選択は印象的ですが、展示会向けのミニゲームでは倫理的な問題を突きつけるのはふさわしくありません。そこで、もっとシンプルでライトな形に焦点を当てました。
このゲームでは、コマンド戦闘の形式を取り、プレイヤーにさまざまな選択肢を提示します。そして、プレイヤーが選んだ戦い方によって、物語の結末が変化する設計となっています。
そして、その結末によって、勇者であるプレイヤーがこの世界にどのような伝説を残すかも決定されます。伝説のタイプは10種類以上ありますので、ぜひ、あなた自身の手で確かめてみてください!
ちなみに、実は当初、プレイヤーは魔王として勇者を迎え撃つ役でした。このアイデアは面白かったのですが、そのユニークな設定の説明などにリソースを割く必要があると判断し、よりシンプルな体験を提供するためにプレイヤーを勇者に変更しています。
「魔王を討つために旅立つ勇者」というモチーフは、今や「鬼ヶ島へ向かう桃太郎」と同じレベルで共有されている世界観だと思いますしね!
最後に
東京・有楽町で開催中の「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」は、ゲームの楽しさを通じて、UXデザインの魅力を無料で体験できるイベントです。4月14日まで行っていますので、この機会に是非展示会へお越しいただき、楽しんでいただければ嬉しいです。
会場で皆さんとお会いできることを心待ちにしています!