反旗を翻せ!
生徒総会が昔から好きだった。1学期に1回ぐらいの頻度で行われるアレだ。
そりゃ学校が全て自分にとって都合のいいルール、制度で構築されているわけでは無いから小さい不満はどうしても出てくる。
しかしその不満を議題に昇華させるのはそれなりに手間がかかるから「校則だから仕方がない」と自分を納得させる方が手っ取り早い。だからその"手間"という壁を越えた人が全校生徒の前で学校に向けてどのような事を訴えるのか楽しみだった。
話し合いが長引き、事前に準備していたストックが無くなると、その人本来の話す能力、思想が見えてくる。「耐えてる耐えてる!この人意外と話すのうまいな」とか「質問に答えれてないやん。なんて聞かれたか覚えてる?」とか思う。そりゃ口には出さないけど。ここが醍醐味だと思っている。
余談ではあるが"全然大した事言ってない場合"でもその人が発言した直後に拍手をするとその拍手は石を投げ込まれた水面に生じる波紋のように広がって行く。これが地味に面白かったので、学生時代は毎回やっていた。
そんな学生時代からほんのちょっぴり時間は流れて、現在は教師(厳密には見習い)をしている。
授業中、生徒の机の上に原稿のようなものを見つけた。ワードで打ち込み、印刷したものの上からさらに添削を重ねていた。どうやら本気だ。その原稿の正体を聞いてみた。
次の生徒総会のための原稿です!ツーブロック禁止を校則から無くしたいです!
彼の目は輝いていた。目に力があった。原稿に目を通すとそこにはツーブロックを認めさせるための演説が書かれていた。A4用紙6枚にわたって。日本国憲法を用いている部分もあった。現代社会の先生とツーブロックを生み出した床屋のおじさんも泣いて喜ぶだろう。
そして彼の発言を皮切りに、クラス中に彼らの熱い思いが飛び交った。文字通り新人の僕が何か言える立場ではないけれど、個人的にはツーブロックが校則違反になるのはあまり意味が分からないので頑張って欲しい。多分時代的には遅かれ早かれ認められるだろうから結構いいところまでいくかもしれない。
生徒指導部相手にするなら他の先生味方につけんかい!そのためには授業真面目に受けるのが手っ取り早いで!
これ言ったらその日の授業は今までの授業で1番集中してくれたので、生徒指導部様々だ。
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