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7月の読書・下

みんなのフォトギャラリーから写真をお借りしました。
7月の読書、続きです。


愛すべき娘たち

母と娘の関係、虐待、女であること、娘であることのつらさ、宿命を書いた短編集。
ゆるすとわかってあげる、わかる、とは違うよね。
最後の章、娘はわかってあげることはできたのだろうけれど、ゆるしてあげるのはまた別ではないのか。母と娘であることの宿命と難しさとを感じて悲しくなってしまった。


本屋、はじめました

大手書店に勤務していた著者が、退社して、自分の本屋を開くまで、そして開店してからしばらくの間の話。
一通り読んでから、巻末の「事業計画書」を見ると、なんだか感慨深いです。(身内でも何でもないんだけれど)
とても面白かったけれど、この本を読むのは、やはり今時純粋に本屋だけでやっていくのは難しいということの再確認の作業でもありました。
まるで小説を読んでいるような面白さであり、お仕事小説(ノンフィクションですが)として読むのも面白い読み方ではないだろうか。


桜底

呪街

エンタメホラー。
冒頭から、めっちゃ突っ走っています。笑いの要素もあって、楽しめました。怖さは…わりと怖いですが、土地にまつわる話なので「そこにいかなければ大丈夫」、だから怖がりの人も大丈夫かもしれない。

桜底の続きです。
赤バッチの能力が気になります。
主人公の持つ常識と、人間の能力が及ばない領域での常識。どちらが正解なのだろうか。


春の庭

アマゾンの感想を見ると、読者の評価が、真っ二つといっていいほど割れていた。
ちなみに、私は読みやすいし、面白いと感じた。
西のこだわりがすごすぎて、最後のほうでは笑ってしまったくらい。主人公が暮らすアパートと、「春の庭」の家の描写もとてもいい。
春の庭の家には本当の暮らしではなく見せかけの暮らししかなかったのかもしれない。森尾さん一家がやってきて、本当の生活をすることによって、時間が動き出したような、そんな気がした。


言語の本質

言葉の「記号接地問題」から始まり、人間は生まれてからどのように言語を身に着けていくのか、オノマトペは言語なのか、AIと人間はどう違うのか、動物はなぜ人間のように言語を持たないのかについての考察。
人間が言語を理解するためには、端緒となる知識が「接地されている」すなわち端緒となる物や出来事を、身体感覚とつながる形で「知っている」ことが必要なのだ。
オノマトペについて長いページが割かれているが、オノマトペについての調査が興味深かった。オノマトペは言語であると位置づけできるという結果は意外だったが納得できた。
とにかく面白く読んだが、人間が言語を習得していく過程については著者の主張はわかったが、異なる言語間での違いについてはあまり触れられていない。人間は、どの言語についても同じように習得すると仮定して、例えば英語と日本語がこんなに違うのは?オノマトペについても違いは述べられているがそれはどうしてなのか?端緒となる言葉が違ってしまったため、そこから発展していくにつれて、こんなに大きな違いが生まれてしまったのか?疑問が残ってしまった。


あらゆることは今起こる

ADHD当事者の著者が書く、数々の困りごと。「普通」であることの難しさと、「普通」に「ちゃんと」できないのはダメであるという世の中で生きていく困難さを書いている。
そんな著者が困りごとについて述べながら、普通とは?できるは「優」でできないのは「劣」なのかとか、いろいろと考察している。
本当に、人は一人一人見ている景色が違うと思う。その人の見ている景色を知りたいから、人は本を読んだりするのかもしれない。


以上です。
「あらゆることは今起こる」「春の庭」が面白かった。
発達障害についての本はたまに思い出したように読んでいます。
「言語の本質」「「させていただく」の使い方」は気になっていたので、読めてよかったです。言葉って面白い。だからって自分にとってはあまり役にはたたない知識なのですが、知ること自体が面白いです。

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