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【ガチ数学】ゼロで割る問題に「こたえなし」と答えるのは間違っている件
試しにうちの小学生の子供たちに聞いてみた。
「ゼロで割るって、何だっけ?」
「undefined」
「undefinedってなんだっけ?」
「定義されていないこと」
うん。よし。少なくともうちの子供たちはわかっていた。
「それ前にトイレットペーパーのでやったやつじゃん」
完璧である。
あなたは、undefinedということばを知っているだろうか?
プログラミング経験者なら、なじみがあるだろう。
undefinedとは「未定義」を意味する。
そして、数学において、ゼロで割る演算は「未定義」なのである。
未定義であるということは、答えが存在しないのではない。その演算そのものが数学という学問の中で定義されていないのである。
要は、数学という学問の中には、ゼロで割るという演算を定義した命題そのものが存在しないのである。どんなに無理やり命題を定義しようとしてもill-defined(定義不良)となるため存在しえないのだ。
命題が存在しないのだから、極めて厳密には、証明も不可能なのである。
よく、かけ算に置き換えて背理法で、という説明を見かけるが、厳密に証明する場合、割り算とかけ算を置き換える定理そのものが、ゼロで割る場合を除く前提を含んでいるのだから、割り算とかけ算を置き換える定理を適用することも、そもそも不可能なのである。だから、そんな証明は厳密には証明として成立していない。どこまでいっても「undefined(未定義)」なのである。
つまり、ゼロで割る問題自体が数学という学問の中には存在しない。
だから、ゼロで割る問題文を掲載している時点で、それは学問としての数学ではない。ということは数学ではないという前提で、たとえばオカルトであるとか、スピリチュアルであるとか、疑似科学であるとか、あるいは「謎解き」であるとか、何か数学とは別の枠組みの中で発せられた問いであると考えるのが筋なのである。
それをあくまでも数学の問題だと勘違いして答えているとすれば、もうそこですでに間違えているのだ。
そして、数学においては、undefinedと、答えがないことは、異なる。
じゃあ、答えがないことと、undefinedであることは何が違うの?
数学には答えが「no solution(解がない)」となる問題が存在する。
そして、no solutionは、undefinedとは異なる。
例えば、$${x^2+1=0}$$ は、x軸上に交点を持たない。つまり、解となるxが存在しない。
こちらは命題としてしっかりと成立する。
$${\neg (\exists (x:\mathbb{R}), x^2+1=0)}$$ であり、 $${( \forall (x:\mathbb{R}), x^2+1 \not= 0) }$$ である。
$${\mathbb{R}}$$ は、Real Number(実数)を表す。
実数とは、大小の比較が可能であって、数直線上に小さい方から順番に並べられる数のことである。
$${\neg}$$ は英語で言うと、notである。
$${\exists}$$ は英語で言うと、existsである。
つまり、$${\neg \exists}$$ でnot exists、存在しない。となる。
$${\forall}$$ は、forallである。$${\forall (x:\mathbb{R}), x^2+1\not=0}$$ と書いて、すべての実数xについて、$${x^2 + 1}$$ がnot 0である。という命題であり、この命題はすべてのxに対して真となるし、証明も可能である。
こうした「条件を満たすxが存在しない」ことを示す命題に対して「こたえなし」と書くのは良い。
しかし、ill-definedな命題に対して「こたえなし」と書くのは、やはり数学としても正しいとは言えない。
海外ではどう教えているか?
参考までに海外ではどう教えているかリンクを貼っておく。
うん。やっぱりundefined。数学は世界共通である。
そして冒頭に書いた通り、こんなことは小学生でも知っている話である。
追記(2024年6月29日)
こちらの記事もどうぞ。
追記(2024年7月10日)
まともな記事を発見したのでリンクしておく。