在日米軍基地を走る! フロストバイトロードレースでハーフ自己ベストを狙った結末
1月23日、東京西部にある在日米空軍基地、横田基地で開催された「フロストバイトロードレース」のハーフ部門を走ってきました。昨秋のつくばマラソンでフルマラソン4時間切りを達成し、次の目標はどこに置こうかと考えたときに、次はハーフの自己ベスト更新を目指そうと思い立ち、このレースを選びました。
とはいえ、下調べが甘かったせいもありますが、最後は思いもよらない結末に…。細かいことにはこだわらない? おおらかな大会の模様をレポートします。
トレーナーがもらえちゃう大会
フロストバイトには「しもやけ、凍傷」の意味があるそうです。「基地の中を走る」「参加賞にかっこいいトレーナーがもらえる」といった断片的な情報を以前聞いたことがあり、面白そうなレースがあるものだなと記憶の片隅に残っていました。
記録更新を目指すレースとして一番手に挙がった大会は「新宿シティハーフ」(1月29日開催)でしたが、エントリーはとうの昔に終了。どうしようかなあ、と思案しながらSNSを眺めていたときに目に飛び込んできたのが「フロストバイト」の7文字。参加費6000円で、トレーナーももらえるし一石二鳥! ということで即、申し込みをしたのです。
午前11時の号砲に向けて、当日は9時前に最寄りのJR青梅線牛浜駅に到着し、10分ほど歩いて横田基地へ。基地内に入るためセキュリティは当然厳しく、身分証明書(パスポート、運転免許証、マイナンバーカード)と手荷物のチェックがゲートで行われます。
そこからさらに3分ほど歩き、会場手前でいよいよお楽しみ、トレーナーの受け取りです。毎年カラーが変わるのですが、今回の色は…
レッド!
40代半ばのオッサンが外で着るにはちょっと勇気がいるかも…。とはいえ、早速それを着てレースに出るランナーの姿も多く見られました(あと、バフのおまけもついていました)。
ウォームアップでズンバを踊る
参加者は広場やその周辺に陣取り、着替えや準備体操に入ります。ハーフの前には2km(キッズ、ファミリー)、5kmの部が行われており、ガチ勢からファンラン勢まで幅広く楽しめる大会。屋台テントも立ち並び、ハンバーガーのパテを焼く煙が漂います。3年ぶりの開催ということもあり、待ちわびていたリピーターも多かったのでしょう。久しぶりに「密!」な大会にやって来た感がありました。
この日は今季最強寒波が到来しつつあり、気温3℃と、それこそしもやけになりそうな極寒予報。手荷物預けへの行列が長くならないタイミングを見計らい、スタート30分前に着替えを済ませます。寒さが苦手なタイプなので、冬場のレースはこのタイミングが頭の悩ませどころ。下はロングタイツ、上はアームカバーとザ・ノースフェイスの半透明ウインドブレーカーで、何とかしのげそうです。
と、広場から突如、威勢の良い音楽が聴こえてきました。ウォーミングアップでズンバを踊るというのが、またアメリカンなレースらしさ。省エネ派の僕はストレッチをしながら眺めていましたが、皆楽しそうに踊り、いい感じでひと汗かけたようです。会場の興奮も最高潮に達し、さあ、いざスタート地点へ!
そこで驚くべきアナウンスが聞こえてきたのです。
「ハーフのスタート時刻を30分遅らせて、11時30分とします」
おいおい、踊っていた人たち、体が冷えるっちゅうねん!
マラソンでスタートが30分も遅れるなんて聞いたことがありませんが、既にスタート待機していたランナーたちも怒声を上げることなく、「やれやれ。いったん引き上げますか」といった様子。そこで僕は、「なるほど、こういう大会なのね(笑)」と悟ったのです。冷えるとすぐに尿意をもよおすタイプなので、30分待ちはしんどかったですが、仮設トイレの数が多かったため、さほど並ばずに入れたことは不幸中の幸いでした。
「トップガン」の曲が脳内再生
そして11時半、威勢よく号砲が鳴る…わけでもなく静かにレースはスタートしました。Dブロックの僕は約2分のスタートロス。コースは、滑走路を含めて基地内に設定されたルートを2周します。
これまでのハーフの自己ベストは、3年前の神奈川マラソンで出した1時間49分。今回は1時間45分切り(4分58秒/kmペース)が目標です。つくばマラソンまでと同様に基本はジョグ・LSDをメインに、2週間に1回、8km(40分)を5分~5分10秒/kmで走る練習を取り入れてレースペースへのイメージをつかんできました。
初めの1~2kmは抑えて入り、3kmくらいから想定ペースにもっていく計画。スタート渋滞、さらに倉庫群の中をカクカクと曲がる序盤のコース設定も助けになり、手元のGPSウォッチで5分32秒→5分01秒→4分57秒…とイメージ通りに入ることができました。
このレースの最大の魅力は、何といっても滑走路を走れること。その広大な姿は2km過ぎに目に飛び込んできました。頭の中に「トップガン」のテーマが流れ出し、F14トムキャットが今にも舞い降りてくるかのよう…。富士山は曇って見えなかったと思いますが、奥多摩や秩父方面の山々が望めて、また、多くのランナーが走る姿がはるか前方まで連なって見渡せるのもとても印象的でした。
ちなみに、レース中の滑走路での写真撮影は機密情報に関わるのでNG。あと、もし緊急着陸の事案が発生した場合はレースが中断になる旨も事前告知されています。
ラストスパート! のはずが…
さて、レースが始まってもう一つ困ったことがあります。案内には「5kmごと」と書かれていた距離表示が見当たらないのです。本来は1kmごとの表示に従って手動でラップを取りたいのですが、5kmすらないのであれば、完全にGPSの自動ラップをあてにするしかありません。まあ、3年ぶりの開催なので、そんなこともあるでしょう。
その5kmごとのラップは、~5km25分28秒、~10km24分33秒、~15km24分8秒。コースはいたって平坦で、懸念していた北風もほとんどなく、太陽に向かって走ると少し汗ばむほど。~20kmは24分9秒。距離表示がない分、上げどころがつかめなかったというのは正直あります。とはいえ、5分を切るペースでこんなに長い距離を走った経験がないので不安はありましたが、イメージ以上に良い走りができていたように感じます。
そうこうするうちに2周目も終わりに近づき、時計の距離を見れば残り1kmほど。ラストスパートせねば! 隣の女性ランナーが競ってきたので負けるものかと力を振り絞り、誘導にしたがって周回コースから横道へ左折。自己ベスト更新は確信、あとはどこまで記録を伸ばせるか――!!
と思ったら、あれ? もうフィニッシュゲート?
時計を止めると1時間39分25秒。でも距離は20.24km。ひょっとしてGPSが狂っていて、実は想定外の好タイムを出していた? まさかの100分切り達成⁉ と、支給されたバナナを手に呆然としていると、近くのランナーからこんな声が聞こえてきたのです。
「距離、1kmくらい短かったぞ」「あ~、またかよ」
あ、やっぱりそうだよね~(苦笑)。
後日ネットで調べると、基地の事情でコースが変わるフロストバイトでは距離がアバウトなのは毎度のことのようで、逆に、ハーフの前の5kmの部は、なんと7km近く走ったとのこと。突如スタートが30分遅れたのも、この影響なのでしょう。公式タイムも1時間39分でしたが、さすがにこれで100分切りとは大手を振って言えないので、GPSウォッチのトータル4分55秒/kmペースから換算し、1時間43分43秒でベスト更新と自己認定させていただきます。パチパチパチ…
とまあ、思わぬ結末にはなりましたが、キロ5分の壁を破って20km超を走れたことは今後の自信になりましたし、何といっても米軍基地内を走れちゃう、そんなユニークな体験ができたのですから満足、満足。タイムを狙うのもいいですが、こうした特色のある大会を楽しんで走るのもいいものだなと、改めて感じた1日でした。
大会名物「外人バーガー」は、あまりの長蛇の列のため断念。次回は必ず食べるぞ!
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