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血と骨(というより肉)

少し前にブルジョワの展示を見た、回顧展なので全ての年代の作品を網羅的に鑑賞できて良かった。年代ごとに手法や扱う素材も行ったり来たりしながらサイズや規模感も変化していくのはアーティストとして成功して以降経済的に自由になっていくこととも関係しているはずだ。それでも彼女の言葉やステートメントを見ると、とても(精神的に)不自由そうだと思った。作品を制作する行為が彼女を救ったのだと思うけど創作を続けるためには資金が必要で生きていくためには金が要る。実際彼女の作品は世界中の美術館やアートコレクターに買われている。

怨念や執着、怒りが創作への原動力なのは明らかだけどそれを作品として成立させている理性というか冷ややかさみたいなものが同時に存在している。そうじゃなければ他人は共感したり感動したりしない。当たり前のことだけどそういうことを、ぼんやり考えていた。

トラウマという怪物のようなエンジンを積んだ、ブルジョワを乗りこなしたのは一体誰なんだろう。

写真はロバートメープルソープ 


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