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世の中という川に流されないために

今沈黙することは、賢い。
けれど今、沈黙することが全てにおいて正しいのではないと信じる。
松本竣介(雑誌「みずゑ」内「生きてゐる画家」より抜粋 昭和16年4月号発表)


 
 2022年7月8日、衝撃的な事件が起こった。
 
 今まで世の中を、自分を、過信していた。
 私の知る「世の中に疑問を持ち、流れに身を任せずその流れに負けじと立ち続ける人たち」を紹介しはじめたらいつの日か共鳴する人が現れるだろうと。
 
 ただ、その事件以降、私はおびえた。歴史上の言論統制をはじめとした思想の制約の再現を妄想してまた歴史は繰り返すのではないかと布団で眠れなくなった。
 そして確信した。一票しかもたない私だけでは世の中を変えられない。
 また同時に、勉強熱心でも詳しくもない人間でありながら私はどこか上から人をみていたことに気づいた。自分が人に教えるんだ、というおごりである。

 弱くて、インフルエンスもできない人間。これが私の今であり、原点である。
 だからこそ何ができるか。
 等身大の気づきや意見を開示し、ピクっとする人を見つけていき、いつかゆるい共犯者になってくれる人を探していくしかない。

 世の中という川の流れは急で、あっというまにすぐ流されてしまう。
 川の流れに真っ向から挑むのは無謀だとしても流されないよう両足を踏ん張らせて立って意思を表明することはできると考える。

 大人歴が30年40年たったときに年若い人たちが苦しむのは過去の自分のせいだと後悔しないように。好きな画家の文章をもとに決意を新たに表現をはじめたいと思う。

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