おうち時間にオススメの本5
恋愛成就寺 小池龍之介
ディスカバー・トゥエンティワン
恋愛とはなんでしょうか。
私の中では、人間が子孫を残す為の初動の機能、と今では捉えております。身も蓋もないようですが、とはいえ、最初のときめいたり落ち込んだりは楽しいですよね。急に世界が輝き出して、お化粧だって頑張りますし、肌ツヤも良くなります。
その後が大変。ケンカ、嫉妬、浮気。人間には考え過ぎてしまう頭がついておりますから、春先の猫のようにはいきません。
本書は、恋愛のそのような悩みに、東大卒、お寺の住職をなさっている著者が、わかりやすいユーモアある文章で、一問一答形式で答えてくれています。仏教の思想もほんのり感じられます。
彼の浮気が許せない、曖昧な関係に終止符を打ちたい、プロポーズしてほしい、バツイチの彼との結婚に迷っています、等々。
ただ、本のタイトルにつられ、どのようにしたら恋が実るかと思ってこの本を読むとバッサリ裏切られます。甘美な筈の関係を、醜い感情で汚してしまうのは"あなたにとっての特別な私"の気持ち良さに酔い痴れて相手の気持ちを忘れるから……バッサリです。
『自分がこんなにも醜くてイヤーな精神性の人間だということを自覚して、それでもつき合ってくれている彼を大事にしてあげてください。』(本文より)
うぐっ…
自分の価値を相手からの愛情ではかるため浮気してみたり、自分は間違えてなかったと自己正当化してまた同じタイプの恋愛を呼び寄せてみたり。
悩みの原因は、見ないフリをしている見栄やプライドや寂しさなど、己の心の中にあるということを、ナイフで傷をえぐるように(更に塩もすり込まれます)教えてくれる一冊です。
恋をして、苦しんだり死にそうになったり般若のような顔になったりを繰り返して、自分の枠を知っていくのは良いと思います。おかげで私は、昔の恥ずかしいいろいろな出来事にフタをして忘れ去るという技を習得できました。(政治家みたいですね)
恋愛の真っ只中にいる時は、人の意見なんか右から左ですが、相談しながらも実は聞いて欲しいだけ(ホントの答えは出ているけど認めたくない)というような時に、違う角度からの考えとしてオススメの一冊です。