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キャベツ畑

私のお家はみんなと違う。
お母さんは帰ってこないし、帰ってきても毎回別の男の人と帰ってくる。
私の学校のお金は全部おばぁちゃんとおじぃちゃんが出してくれるし。いつもおかあさんとおばぁちゃんは喧嘩してるし。
でもいつもおばぁちゃんはお母さんにお小遣いをあげててね。
でもね、もう中学生にもなると分かってきちゃうんだよね。うちのお母さんがおかしいんだって、うちの家はどうかしてるんだって。だから私がママに愛してもらいたくていい子ぶったり、かわいこぶったり、委員長やったり、ちょっと頭悪い子になってみたり。なんて全部無駄だったって分かってたんだよね。知ってたんだよ。だって一度だってママは私の入学式も運動会も卒業式も来てくれやしなかったんだから。

もう全部わかって投げ出してしまおうと思ってた。

でも私はもうこの猫被りが外れなくなっちゃって、どっちが自分なのかわからなくなっちゃって、本当はしっかりできるはずなのに、みんなの前で馬鹿な私のまましか話せなくなっちゃって、それで…それで…


震えている体は小さくて、寒さでなのか、怖さでなのか、それは僕にもわからない、今、君にかけてあげるべき言葉は何かわからず、言葉にもならないような呻き声をあげるばかり、嗚咽のような相槌でしか君を包めないけれど今はただ、君のことが知りたい。


私は本当に馬鹿だからさ…中学に入ってからずっと、うまくみんなに馴染めなくて…頑張って喋ってたんだけど、可愛こぶってるなんて言われて、ちょっと…いじめられちゃったりして…だんだん学校に行くのが嫌になってきちゃって…
それでね…お家に早く帰ったの、ちょっとねママとお話しできたりしたら嬉しいななんて思いながら。

そ…そしたらね…



ヒッ…フヒュ…







分かってる、本当は聞きたくないけど、確かめないわけにはいかないから。大丈夫。受け止めるから。その怯えも震えも自分のものとして受け止めるから。



だから。


体をこわばらせる、今から来ると分かっている言葉を我慢できるように…



家にね…その…ママの…お客さんがいて…ヒュ…ハァ…ゥ゛…それで…その…ハァ…その…そのね?
男の人に…
















自分の中で何かが切れる感覚がした

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