京都・伏見で焼き雀を食べた話
伏見稲荷で売っていた
鶏肉じゃないほうの鳥
わたしの好きな食べ物のひとつに焼き鳥がありますが、昔一度だけ鶏肉以外の焼き鳥を食べたことがあります。それは、スズメの焼き鳥。京都の伏見稲荷神社の近くで売っていたので、話のタネにと思って食べてみました。
あんな小さな体で、どこに食べるところがどこにあるのか、と思われるかもしれませんが、まさにその通りでした。ほんとうにちょっとしたスナック感覚で食べれて、味付けはしょう油ベースのあまからいタレ。風味づけの山椒が効いて、アルコールのお供にもちょうどいい一品でした。骨ごとバリバリと食べる感覚は、魚の一夜干しに似ていました。
食材としてのスズメは
江戸時代の料理書にも
今でこそ鳥肉といえば鶏肉が一般的ですが、江戸時代の料理書にもスズメの焼き鳥は記載されているようで、当時はさほど珍しい食材ではなかったそうです。このほかにはカモやツルの肉も食べられていたようで、こちらもいつか調べて記事にしたいと思っています。
年中みられるスズメですが、じつは旬があるそうで、冬が一番食べ頃なんだそうです。冬に獲られたスズメは「寒雀」といわれ、脂がのって美味とされていたとのこと。わたしが伏見を訪れたのも冬の時季でしたので、ちょうど「寒雀」だったのでしょう。
環境省などの調査にて
個体数減少が判明した
身近でどこででもみられるスズメですが、2024年秋頃、環境省などの発表にて個体数減少の懸念が明らかとなりました。同省らは2008〜’22年度に北海道から沖縄までの325か所で調査をし、鳥類106種のうち15%の16種で顕著な減少がみられたとのこと。この16に、スズメも含まれていたそうです。
ほかにも、鳥類ではオナガ、チョウ類ではギフチョウやオオムラサキの減少が認められたそうです。生息環境別にみると、森林などよりも農地や湿地といった環境下での種の減少が著しかったそうです。
「日本人の住環境が変わって、巣をつくれる場所が少なくなったからスズメが減った」といった内容の話を、わたしは何度か耳にしたことがあります。人の住環境とスズメの今回の減少とがどこまで関係するかはわかりませんが、確かに家の近くで昔よりもスズメを目にすることが少なくなったように思えます。こうした機関の発表や雑誌や新聞の記事で、日常の変化に気づきが得られる。日頃から身近な自然の変化を察知できるよう、こうした情報には目を光らせたい、と改めて感じた次第です。
参考文献
・三上修『スズメ つかず・はなれず・二千年』岩波書店 2013年
・スズメやオナガの減少深刻 里山の鳥・チョウ個体数調査 日本経済新聞2024年10月3日