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クロサイから考える動物園
私の推し動物園
開園110周年に
私の記事を読んでいただいている人は生き物好きが多いと思いますが、みなさんは推しの(好きな)動物園や水族館はあるでしょうか。私は大阪にある天王寺動物園が好きで、2025年は本園の開園110周年の記念すべき年でもあります。
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今回は、その天王寺動物園で飼育展示されているクロサイを取り上げたいと思います。なぜ、クロサイなのか。それは個人的に「魅力があるのにどこか注目度が低い動物」という印象があるからです。キリンやライオン、ゾウなどと比べるとどこか地味な動物ですが、本記事でクロサイのことを知ってもらって、少しでも興味をもってもらえればと思います。
「クロ」は枝葉
「シロ」は下草
一口に「サイ」といっても、日本の動物園では一般的に「クロサイ」か「シロサイ」のどちらかを飼育しています。今回紹介するクロサイはシロサイよりも小さく、口が尖った形をしています。この口の形状は、おもに木の枝についた葉っぱを食べるのに適した形とされており、反対にシロサイは下草を食べるのに適した平べったい口をしているとのこと。
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サイに限らず、生き物を観察する際に口元に注目するというのは、大きなポイントとなります。鳥類でも平べったいくちばしの種は水草などを食べ、鋭くかぎ状になったくちばしの鳥は肉食です。動物園に訪れた際は、ぜひいろいろな動物たちの口元を観察してみてください。
「角は良薬」と
デマにより密猟
サイと聞いて思い浮かぶのは、やはりその鼻先の角。これは髪や爪に似たようなもので、中に骨はありません。この角が「良薬になる」と根拠のない話が広まって、生息地であるアフリカではサイの密猟が問題となっています。密猟による影響だけでなく、クロサイは繁殖が難しい動物でもあります。そのためか、現在絶滅危惧種としてレッドリストに指定されています。もし、このまま数を減らし続ければ、クロサイもまた天王寺動物園でかつて飼育されていたキーウィのように、日本でみられなくなるかもしれません。
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(天王寺動物園内に展示)
https://note.com/ko21ikiguru50/n/n6735c56d2571
ちなみに天王寺動物園では、かつて「トミー」というクロサイを飼育していましたが、この個体は当時の国内最高齢を記録し、その生涯を閉じました。野生下でのサイの平均寿命は25〜40だそうですが、このトミーはアフリカとはまったく異なる気候の日本で、36年という長い人生を歩みました。
動物園は生き物たちを飼育することで繁殖や研究といった生物多様性保全を進めるとともに、さまざまな国から動物たちを招き入れ飼育展示して、私たち市民に学びを与えてくれる施設です。園内でさまざまな表情をみせてくれる動物たちを観察しながら、彼らが抱える現状や知られざる能力を知っていきたいと、本記事をまとめながら改めて感じました。
参考文献
・天王寺動物園情報誌Together「芸短生動物園ウォッチ クロサイについて知ってくだサ〜イ 」2021年10月
・日本最高齢のクロサイ死ぬ 36歳、大阪・天王寺動物園 日本経済新聞2019年2月7日
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