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私を沼らせた野鳥3種
「野鳥観察が趣味です!」
はじまりはこの鳥たちから
自己紹介をする機会があると、私はいつも「野鳥観察が趣味です!」と言います。子どもの頃から生き物が好きで、よく両親に動物園や牧場、水族館、博物館などに連れて行ってもらいました。とくに鳥類が好きなのですが、なにが理由で鳥好きになったのかはもう、定かではありません。
ただ、みつけた鳥類を撮影して記録したり、フィールドノートに記録したりするきっかけとなった野鳥は、よく覚えています。今回は鳥好きの私をさらに沼らせた野鳥3種を、豆知識とともに紹介したいと思います。
◯ユリカモメ
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子どもの頃、よく海辺で撮影した野鳥。冬の海に映える白い翼は美しく、飛翔の瞬間を狙ってよくカメラを構えていました。
本種はロシアのカムチャッカ半島で夏を過ごし、10月頃から日本にやってくる冬鳥。渡りの時期になると日本各地で観察できますが、GPSアンテナを装着してその渡りルートを解析するといった研究も行われているほど、研究者も注目している野鳥です。今後の研究により、ユリカモメの平均寿命なども解明できるかもしれないそうです。
◯ハクチョウ
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私が大学生の頃、北海道で追い求めた野鳥の1種。ハクチョウを撮影したくて、北海道のウトナイ湖まで行ったことを覚えています。
冬鳥としてのハクチョウは、オオハクチョウとコハクチョウに分かれます。ですが、その識別はなかなか難しく、くちばし基部の黄色の面積が広いほうがオオハクチョウで、狭いほうがコハクチョウだそうです。2種類とも繁殖地はシベリアですが、コハクチョウのほうは比較的高緯度な場所で繁殖するそうです。
◯コウノトリ
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兵庫県豊岡市で行われた放鳥式から数日後に、現地の保護施設まで行って野外を飛び回るコウノトリを目の当たりしたのをよく覚えています。悠然と飛ぶその姿に、復活を果たした生命の力強さを体感しました。
コウノトリは猟銃が普及した明治時代の乱獲や、食糧増産が求められた戦後での農薬大量散布(環境汚染)などで数を減らし、国内の野生個体は一度絶滅しました。ですが、その後、ロシア(当時はソ連)から個体を譲り受けて繁殖活動を試みたり、人工育雛を実施するなどして飼育個体数の増加に成功。その後の再導入にも成功し、現在野生個体の数は増加中にあります。
こうして列挙してみると、私個人の思い出だけでなく、どの野鳥にも渡りや再導入といったドラマがあり、ロマンがあります。「野鳥」と一言に言っても、その魅力はそう簡単に語り尽くせません。今後もnoteで野鳥のことのみならず、生き物たちが秘める物語を紹介していきたいと思います。
参考文献
・「アンテナ付きユリカモメ撮れた! 研究者を探してみると…」産経新聞2022年3月6日
https://www.sankei.com/article/20220306-NFPZUCFMZZPNVDH4WOO6OUNCBM/
・細川博昭『身近な鳥のふしぎ』ソフトバンククリエイティブ 2010年
・山岸哲『げんきくん物語 海をわたったコウノトリの大冒険』講談社 青い鳥文庫 2018年
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