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カスタマーサクセスは有償で提供すべきなのか

企業の課題をカスタマーサクセス起点で滑らかにするSuccess Goal Lab.代表の大竹健斗です。

大企業・ベンチャーでの営業、PM、CS、経営の経験を基に、事業や組織でよくある課題とその解決方法についてnoteで発信しています。


1.カスタマーサクセスを有償で提供している企業はどのくらいいるのか

カスタマーサクセスを有償で提供している企業の数について、実際の状況を探ってみましょう。

カスタマーサクセスの認知度はとても低い

カスタマーサクセスへの理解度の低さが、その提供企業数の少なさに繋がっています。
一般的なビジネスにおいて、カスタマーサクセスという概念や役割についての認知度はまだまだ低いです。

Saas製品を提供している企業は率先して取り入れてますが、カスタマーサクセスが必要と思われる多くの企業でも部署が設立されておらず、名前含めて世間に浸透していない状況です。

カスタマーサクセスを提供している企業はとても少ない

カスタマーサクセスを提供している企業自体も現時点ではごくわずかです。
カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援するための部門や機能ですが、それが必要なことに気づいていない企業もあります。

テック系の会社ではカスタマーサクセスが早くに設立されている印象ですが、それでも一般的にカスタマーサポートと混同されます。

カスタマーサポートは製品の使用方法などを支援し、一時的な問題解決を行うといった受動的な部署ですが、カスタマーサクセスは能動的にアクションを起こし、売り上げの維持・向上に貢献します。

カスタマーサクセスを有償で提供している企業は1割程度

現在のところ、カスタマーサクセスを有償で提供している企業はCS部門を持つ企業全体の約1割程度です(100社への独自インタビューの結果)。※これは私の周囲のSaaS企業を中心としたインタビューのため、業界や企業の特性によって異なる可能性があります。

カスタマーサクセスは顧客と伴走し成功体験を創出し売り上げを作る機能を持っていると私は考えています。また、顧客折衝で得られる具体的な活用事例は、開発部門や技術部門にとって有益なフィードバックになるなどサービス改善のカギになります。

カスタマーサクセスが、このようにビジネスの成果に寄与する事実が広く認識されれば今後、様々な業界でカスタマーサクセス部門が設立され、有償提供する企業の数が増えるでしょう。

2.カスタマーサクセス部門のコストは誰が払っているのか

カスタマーサクセス部門の運営にかかるコストについて、その負担は誰が行なっているのかを考察してみましょう。

ただのコストとして管理されている場合が多い(もはやカスタマーサポートと同じ)

一部の企業では、カスタマーサクセス部門の費用は単なるコストとして扱われ、サービスの提供に対して直接的な収益性が求められません。

この場合、カスタマーサクセスはカスタマーサポートと同様の位置づけとなり、コストとしての管理が主な目的となっています。

ですが、カスタマーサクセス本来の目的は、プロダクトを使用して業務の効率化・成果創出を促進する顧客支援です。そのためにはレポート分析を代理したり、定例会議を設けて顧客の意見を吸い上げたりする必要があります。ハイタッチを中心にコンサルティング業務などが必要になるため、コスト管理では賄いきれないのが現実です。

プロダクト料金に乗せている場合もある

一方、一部の企業ではカスタマーサクセスの費用をプロダクトの料金に含めている場合もあります。つまり、顧客は製品やサービスを購入する際に、カスタマーサクセスの提供に必要な費用を含んだ価格を支払っています。

この方法では、カスタマーサクセス部門が収益の一部を担っており、提供する価値がプロダクト購入時点で明示的になっています。

カスタマーサクセス部門のコスト負担は企業によって異なります。経営戦略やビジネスモデルによっても変わってくるため、一概にどのような形態が一般的とは言えません。

ただし、プロダクト料金に乗せている場合では全ての顧客に平等性を持たせたサービスであることが多く、サポート部門と同じカテゴライズにされる傾向があります。また、カスタマーサクセス部門もプロダクトの機能説明や顧客の不満解消をメインに行うので、顧客の課題解決や売上向上にまで踏み込むことがないケースが多いです。

カスタマーサクセスの重要性が認識されれば、カスタマーサクセス部門での売上目標をもち、部門の予算やリソースが増え、カスタマーサクセス単体での有償化も増えていくでしょう。

3.カスタマーサクセスを有償で提供すべき理由

カスタマーサクセスを有償で提供することには、さまざまなメリットがあります。以下では、その理由について詳しく考えてみましょう。

成果が明確になる

カスタマーサクセスを有償で提供することで、顧客との関係における成果や成果指標を明確に設定することができます。

顧客は有料のサービスを利用することで、自身の目標達成やビジネスの成果を追求する意欲が高まります。また、担当者だけでなく部門責任者や決済権を持った方、経営層も関わってくるため顧客との関係性も深まります。

さらに、成果が明確になることで、カスタマーサクセス部門の効果や貢献度を客観的に評価することも可能となります。この評価が高いほど、有償サービスとしての意義が見出され社内で部門の評価も高くなり良質なサービスを提供しやすくなります。

売上が上がる

カスタマーサクセスは、顧客の成功とビジネスの成長を支援する役割を果たします。有償で提供される場合、顧客はそのサービスに対してより高い期待値を持ち、より積極的に活用する傾向があります。

その結果、顧客の満足度が向上しリピート購入やアップセル、クロスセルなどの売上増加につながる可能性があります。

また、顧客が積極的な使用に比例してフィードバックも手に入るため、プロダクトの改善にも活かせます。結果として高いクオリティのものが提供できるようになるため、既存顧客のアップセル・クロスセルの増加はもちろん、新規顧客の獲得にも繋がり会社全体の売り上げに繋がります。

採用力が上がる

カスタマーサクセスを有償で提供することは、企業の採用力を高める一因となります。
有料のサービスが提供されている企業は、専門的な知識やスキルを持ったカスタマーサクセスの専任者を採用している場合があります。

業務の効率化や設計をするには優れた経験値と能力が必要です。
特にカスタマーサクセスは社内外多くのステークホルダーを巻き込んだ業務が生じるため、多角的な視野が必要とされます。

メンバー構成において、ハイタッチでは直接の顧客折衝も多く発生するためトークスキルなども重要視されますし、プロダクトの機能や関連サービスを十分に活用してもらうため、システム開発経験があるエンジニアの方が求められる場合もあります。

このように様々なスキルが必要な部署のため、優れた人材の確保に向けて企業の競争力が向上します。

従業員のエンゲージメントが上がる

カスタマーサクセスは、顧客との関係構築や課題解決を通じて、従業員のやりがいや成長を促す役割を果たします。

有償のサービスとして提供される場合、従業員はその重要性や価値を認識し、その期待値に答えるため自身の仕事に対する責任感やモチベーションが高まるでしょう。当然ですが、無償で提供されているものよりも、高いクオリティと価値提供が求められるためです。

このクオリティ担保を通じて、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。
これらの要素を備えた企業は、顧客の成功に寄与する価値を存分に提供し、双方にとって良好な関係を築くことができるでしょう。

4.カスタマーサクセスを有償で提供できる企業の特徴

カスタマーサクセスを有償で提供する企業には、特定の特徴が存在します。以下では、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
カスタマーサクセス部門を作るには、以下の5つが必須です。

データドリブンでプロダクト利用実績を説明できる

カスタマーサクセス部門を構築するためには、まずデータドリブンなアプローチが重要です。プロダクトの利用実績データを活用し、顧客と社内に対してその成果や価値を明確に説明できる必要があります。

部門を作るためには顧客に説明するのと同じく、誰もが納得できる数字で社内の責任者を説得する必要があります。顧客がプロダクトを使用する過程でどのような工数が発生するかを洗い出し、その顧客折衝に割く人工を計算し提案します。

この場合の業務工数は、顧客がプロダクト利用で出た検証結果のレポーティングなどに充てる時間です。顧客が自社で行う体力が無い場合は、カスタマーサクセスで代行します。このような業務を通じて、どこまで顧客満足度が上がり利益が出るのかを明確にデータを利用して責任者に説明することが重要です。

顧客とのタッチポイントを作れる

顧客とのタッチポイントを確立し、コミュニケーションを密にすることで、顧客のニーズや課題を把握し、適切なサポートを提供できます。

顧客ニーズを収集するためにはまず、ハイタッチ層に対し定期的なMTGを確立することをおすすめします。直接話すことで実際の使用で生じる問題や成功例を聞き出すことが容易になります。順次にロータッチ、テックタッチ層にもヒアリングを展開しましょう。

生の情報を取れるようになったら、実際に発生している顧客折衝の時間と、その行動から生まれる解約率や顧客維持率などの解決率を一緒に提示し、結果を示しましょう。部門設立のためには、この行動と結果が伴っている必要があります。

アップセル、クロスセル可能な料金プランがある

アップセルやクロスセルの機会を持つ料金プランを備えることで、顧客の成長に合わせた付加価値を提供することができます。

このような料金プランは、既存顧客に対し販売する品を増やし定期収益を上げることが可能です。営業が新規顧客を獲得しクロージングした後のアプローチであるため、営業部とは別にカスタマーサクセスで担うのが一般的です。

顧客との接触機会が多いカスタマーサクセスでは、目的によって必要・不要な商品が何かをデータとして一元管理できるため、部門全体で適切なニーズの把握と提案が可能です。

プロダクトの提供価値が明確

プロダクトの提供価値が明確に伝わることも重要です。
顧客はプロダクトを利用することで得られるメリットや解決できる課題を理解することで、そのプロダクト価値を認識します。

この価値を作り出すためには成功体験を創出する必要があります。
これを顧客と一緒に作り上げるのがカスタマーサクセスの役割であり、顧客のニーズに合わせて商品・サービスの活用方法や事例紹介などを行い、事業の効率化や売り上げ増加に貢献します。

このように、結果が出るとプロダクトの提供価値が明確に伝わります。

顧客へ実現したい成果への道のりが長く、不確実性が高い

顧客が実現したい成果への道のりが長く、不確実性が高い場合でも、カスタマーサクセスを有償化できる企業は存在します。

このような企業は、顧客のビジネス目標や成功基準が明確に定義されており、カスタマーサクセス部門がそれを具現化するサポートを提供します。顧客が目指す成果に向けた道のりが不確かであっても、カスタマーサクセスが顧客と共に歩み、成功に向けた支援を行うことが求められます。

製品にオプションが多数あり使用方法が多い場合、どれが顧客の目的にベストなのかを考え提案します。どのように・どのくらいの期間使用することで効果がでるのかなど、施策を練り、その効果を得られるまでのコンサルティングやレポート分析などを代理で行います。

このように、道のりが長く不確実性が高くとも一緒に奔走することで、カスタマーサクセスの価値は上がり有償化が可能になります。

本記事のまとめと当社のサービスについて

以上が「カスタマーサクセスは有償で提供すべきなのか」の解説です。
最後に、当社のサービスについて触れておきたいと思います。私たちはカスタマーサクセスを起点とした事業開発・組織開発を行っています。経験に基づく独自フレームワークの提供、個人ではなくプロCSチームの提供、従業員の卒業支援制度を独自の強みとしています。お困りの際は気軽にご連絡ください!

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