甘口ワインはどのように造られるの?#2【WSET Lv.3/JSAソムリエ・ワインエキスパート1次試験対策】
前回の続きです⬇
ブドウの糖分を濃縮する方法、
その1までまとめておりましたので、
今回はその2以降をまとめてみます。
➤今回は『どのタイミングでブドウから水分を抜くか?』が大切なポイントです。
ブドウの糖分を濃縮させる方法
−2.『樹上』でブドウを乾燥させる
ブドウは糖分が上がる(完熟状態)と水分が抜けます。
ブドウの実が樹上についたまま干しブドウになると、果汁の糖度が高まります。
この現象はパスリヤージュと呼ばれます。
重要なのは、ブドウは干しブドウ状になりますが貴腐菌の影響は受けないということ。
また、この方法で造られるワインは
レイトハーベスト(遅摘み)と
ラベルに記載されることもあります。
まとめると
パスリヤージュ=レイトハーベスト≠貴腐ワイン、となります。
#1の記事で書いた 『貴腐ワイン』は
ブドウを貴腐菌に感染させる
→ブドウを少し腐敗させる
→腐敗が進まない状態になってから乾燥させて水分を抜く
というステップでしたが、この方法ではブドウを一切腐敗させません。
この『樹上でブドウを乾燥させる』方法はリースリングやゲヴュルツトラミネールなど、アロマティックなブドウ品種と相性が良い方法でドイツやフランスアルザス地方、カナダなど世界中で生産されています。
特にアルザス地方はヴォージュ山脈の存在により、ブドウ栽培地では雲が少なく、夏は晴れて秋は乾燥するため、パスリヤージュ=レイトハーベストにぴったりの地域なのです。
なぜならばブドウが病害虫の影響を受けずにハングタイム(ブドウが木にぶら下がっている期間)が長く取れるから。
アルザスの気候と、
パスリヤージュ=レイトハーベスト
このつながりはWSET Lv.3のセオリーの考え方の基礎として、よいお題なのではないでしょうか?
−3.『収穫後』にブドウを乾燥させる
腐敗していない健康なブドウを収穫し、
水分を抜きます。
そうすることで果汁の糖分が凝縮します。
これには乾燥した温暖な環境が必要ということ、そして健全なブドウであることが重要です。
なぜならば、あたりまえの様ですが腐敗したブドウだと腐敗病が広がってしまうから。
この方法はイタリアのパッシートワインに使用されます。
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCG で知られるこちらのワインは、
干しブドウの香りや味わいが楽しめます。
−4.『樹上』でブドウを凍らせる
甘口ワイン界のスター、
アイスワインがこちらの方法で造られます。
こちらも腐敗していない健全なブドウを樹につけて残したまま、冬まで置いておきます。
このブドウを収穫すると、圧搾の際に凍った部分が圧搾の機械に残ることで果汁の糖分が高まります。
主要な産地はドイツやカナダです。
ちなみにアイスワイン✕アイスクリーム
なんだかシャレみたいですが、相性がとてもよい組み合わせです。
アフォガード感覚でアイスクリームにアイスワインをかけて食べると、それはもう天国の様です。
以上、甘口ワインの造り方まとめでした。
最後までお読み頂きありがとうございます!