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54. 全国通訳案内士試験合格率の分析~2024年度英語の合格率は9.8%〜

 2025年2月7日、全国通訳案内士試験の合格者が発表されました。

 10言語で試験が行われ、全体の合格率は10.0%、最も受験者が多かった英語の合格率も10.0%でした。

 今回は、私が受験した英語の合格率について分析した結果を記します。

1. 合格率の適切性に関する嫌疑

 上記のとおり、2024年度中、英語の合格率は10.0%でした。

 これは、一次試験の受験者(3,022名)から最終合格者(303名)までの割合です。

 しかし、一次試験受験者の合格者のみが二次試験に臨むわけではないのです。

 一次試験合格者の他、一次試験免除者が新たに加わるのです。

 2024年度なら、一次試験合格者(555名)に二次試験から新たに参戦する受験者が加わり、二次試験受験者総数は569名と14名の増加となっています。

 二次試験から新たに加わる受験者は、既に他の言語で最終合格を果たしていたり、前年度一次試験に合格して免除されている方々が対象となります。

 今年度は二次試験からの参加者が20名弱と少なかったので、最終合格率に及ぼす影響は小さかったと思いますが、統計に正確性を求めるなら、一次試験と二次試験で合格率を分けて算出すべきだと思います。 

2. 合格率(一次試験)

 私の手元にある全国通訳案内士試験の受験者数・合格者数のデータから、過去の試験の合格率を計算しました。

 表ではないので、若干、見にくい点があることはご容赦ください。

年度  一次受験者  合格者数  一次合格率
2017年  7.978名   1,780名   23.6%
2018年  5,754名   1,450名   25.2%
2019年  5,505名    951名    17.9%
2020年  3,951名    764名    20.1%
2021年  2,955名    839名    19.1%
2022年  2,594名    575名    37.4%
2023年  2,764名    631名    24.0%
2024年  3,022名    555名    18.4%

 2019年度の一次試験は非常に難しく、2024年度もそれに次ぐ難しさだったと数字からわかります。

3. 合格率(二次試験)

 続いて、二次試験の合格率に関する計算結果です。

年度  二次受験者  合格者数  二次合格率
2017年  2.122名   1,304名    61.5%
2018年  1,355名    584名   43.1%
2019年  1,066名    505名   47.4%
2020年    839名    410名    48.9%
2021年    575名    251名    43.7%
2022年    923名    452名    49.0%
2023年    706名    357名    50.6%
2024年    569名    303名    53.2%

 二次試験の合格率の低さは2018年と2021年が顕著です。

 しかし、一次試験の結果と比較すると、一次試験の合格率が低かった2019年と2024年の二次試験結果が決して高いとは言えません。

 双方の数値に相関関係は認められず、一次試験と二次試験と全く異なる評価がなされていることがわかります。

4. 結論

  試験の合格率を正確に表すなら、この試験の場合、

   一次試験の合格率 × 二次試験の合格率

で計算できます。

 この計算式に基づいて各年度の実質合格率を計算すると、以下のようになります。

 年度  実質合格率 (公表値)
2017年   14.5%    (16.3%)
2018年   10.9%    (10.1%)
2019年    8.5%     (9.2%)
2020年       9.8%     (10.4%)
2021年       8.3%     (8.5%)
2022年     18.3%     (17.4%)
2023年     12.1%     (12.9%)
2024年       9.8%     (10.0%)

 一次試験免除者数を考慮しない公表値と実質合格率に若干開きがあるのは明らかです。

 私は、この実質合格率こそが、全国通訳案内士試験の難易度を示すために公表されるべき数値であると思います。

 ご意見あればお寄せください。

 よろしくお願いいたします。

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