【心を奪われた一冊】辻村深月『朝が来る』
正直なところ、今でも明確な理由はわからないのですが、「何となく引っかかった」というか、「惹かれた」というか・・・。
決して新しい本でもない、特に話題になっている本でもなかったのですが、その中身が気になってしまい、「次はこの本を読みたい!」という気持ちでいっぱいになったのです。
そして、その本を図書館から借りて、少しずつですが毎日読み進めました。
その本は、辻村深月さんの著書「朝が来る」・・・この小説が私の心を虜にしてしまいました。
本書の概要をAmazonの説明をお借りして説明すると・・・
ネタばれになるので詳しい内容は書けませんが、とにかく最後の15ページで完全にやられてしまいました。登場人物の心理描写と、それにともなう仕草の描き方がとても繊細で、心にグッとくるのです。
私は本書を一度読み終えた後、最後の15ページだけを読み直しました。翌日、再び最後の15ページだけ読み直しました。
何回読んでも心を奪われてしまうラストシーンなのです。
そして私は思ったのです、「この本、図書館に返却したくない」。
ついに、Amazonで本書を購入してしまいました。
Amazonから本が届いたところで、借りていた本書を図書館に返却しましたが、それから購入した文庫本で3回目の読み直し、そして4回目のときは最後の15ページだけでなく、関連する部分や、気になった部分も併せて読み直しました。
私も読書経験はそれなりにありますが、こんな気持にさせられる小説は、そう多くはありません。それくらい、この作品にハマってしまいました。
少し余談になりますが・・・
先日、BSテレ東の番組「あの本、読みました?」のなかで、辻村深月さんが特集されていました。その際にゲスト出演されていた紀伊國屋書店のイトーヨーカドー木場店の書店員さんがこの作品を紹介していたのですが、その方は「出勤する電車のなかで読んでいたのに、嗚咽が止まらなくなった」と話していました。
その気持ち、私にもよくわかります(涙)
本書は内容を考えると、少なくとも独身オジサンよりは、むしろ女性のほうがはるかに共感できる本だと思うのです。辻村作品のファンの方はモチロンですが、そうではない方(特に女性)にもお薦めです。