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【絵本 悲しみのゴリラ】

【並べて楽しい絵本の世界】

ジャッキー・アズーア・クレイマー著
シンディ・ダービー絵

おかあさんを亡くした小さな男の子に おおきなおおきなゴリラがそっと寄り添い、だきしめてくれるお話しです。

男の子は泣くことのないまま、自分の、今生きている風景の中に、おかあさんの存在の片鱗をさがしていきます。ママのパンケーキ、ママの庭…

男の子は、ずっと上のほうにママがいるかもしれない、と木に登ります。

「よし すぐうしろにいるからね」ゴリラは言います

泣くこともできないくらい悲しい時にはこんな言葉が必要ですよね

男の子は、寡黙でおおきなゴリラに聞きます

「みんな死ぬの?」
「誰だっていつかは死ぬんだ」
「ママは どこにいったの?」
「たしかなことは だれもわからない」

ゴリラのおおきな腕は、時に美しいエメラルド色で描かれ、

彼の差し出すヒナギクの花は美しい金色に輝いています

そして、若くして妻を亡くしたパパも悲しみに沈んでいます

眠れない男の子のとなりの部屋で、洗濯物をたたんでいるおとうさんの姿はとても悲しく、若くしてふたりを置いて逝かなければならなったひとの悲しみも伝わってきます

窓の外、はなれた木の枝には赤い鳥が描かれて、

赤い鳥の視線は二人を見守っています

悲しみや苦しみを二人ではんぶんこにできるものでしょうか

そうしたら悲しみは癒えるのでしょうか

ゴリラは男の子とお父さんも一緒に抱きしめます。 そして、そしてゴリラと赤い鳥は美しく彩られた空のもと、去っていきました


翻訳者の落合恵子さんは、このゴリラを「ビッグG」と呼んで、時には私のところにも立ち寄ってもらうこともある

と最後に書いています。


筆者もこの美しい絵本を手元に置いて、

道に迷うとき、淋しいとき、暗闇に眠れないとき、時々「ビッグG」を呼んでみようと思います。









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s.suzuki
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