本の落書き
図書館の本に落書きはいけない。
この記事を読んでいる人ならだれも異を唱えまい。
志賀直哉 『城の崎にて』を久しぶりに読みたくなり、
収録されている本を図書館で借りた。
「書き込みあり」との注が貼られた本を読み進めていると、
『プラトニック・ラブ』という短編の一説
「忘れていれば一年でも二年でも忘れている。憶い出せば恋人だ」
に震えるような線が引かれていた。
線を引いた人物には何があったのだろうか。
志賀直哉の洗練された文章を味わうつもりが、
線を引いた人物の人生についての妄想で集中できない。
それなりに楽しめはしたが、やはり図書館の本に落書きはいけない。
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