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ロルフ・デ・ヒーア『Alien Visitor』宇宙人に環境問題について説教される回

ロルフ・デ・ヒーア長編六作目。焚き火を囲んで座る老婆が二人の少女に昔話を語る。昔々、南十字星の一番暗い五つ目の星イプシロンから誤って地球に送られてきた美女異星人がいた。彼女はオーストラリアの砂漠に降り立ち、測量技師の男と出会った云々。地球は人間が環境を破壊しまくるので宇宙人に嫌われていたらしく、異星人は時空間移動能力を駆使して、ひたすら測量技師に説教を続ける。テレポート能力でひたすら背景を入れ替えながら二人で並んで歩いて、ひたすら説経するだけという謎のシーンばかりで、もはや笑えてくる。時間の早回し能力によって高速道路を走る車がビューンってなる映像がいっぱい出てくるが、同じような主題を持っていた『コヤニスカッツィ』のパクリだろう。すると、異星人は測量技師に"あんた私のこと好きなんでしょ?なら関係を深めよう"と言い出して、今度はお説教とロマンスが混ざっていく。なぜ異星人にしたのか、は時空操作能力で移動と説明の手間を省くためとか、寓話的に描くためとか色々考えられるが、降り立った時全裸だったことを鑑みると『スピーシーズ 種の起源』を若干チラ見してるのでは?と思うなど。監督のロジャー・ドナルドソンは奇しくもオーストラリア出身なのです(そして北米配給がミラマックス…)。最終的には地球はキレイな空気になってイプシロン星みたいな暗い星まで見えるようになりました!となって、ロルフ・デ・ヒーアらしく主人公である異星人の夢が叶った形になる。これまで、自分の夢に早い段階から自覚的だったのは子供だけ(『ヒコーキ野郎』『クワイエット・ルーム』)だったと考えると、次は宇宙人が加わったかと感慨深い。厳密には異星人の直接的な夢というわけでもないので、説得力としては一段階劣るが。一方、大人はというと、説教されても尚も理解せず、ロマンスと混ぜてようやく咀嚼する。やれやれといったところか。

・作品データ

原題:Alien Visitor / Epsilon
上映時間:92分
監督:Rolf de Heer
製作:1997年(オーストラリア, イタリア)

・評価:60点

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