フランチシェク・ヴラーチル『暑い夏の影』元ナチの侵入者vs"臆病者"の父親
フランチシェク・ヴラーチル長編九作目。1981年に日本公開されたらしい。1947年の夏の終わり、主人公オンドジェイ・バランは若い妻テレツカ、12歳の息子ルカーシュ、産まれたばかりの娘と共に、チェコスロバキアとポーランド/ウクライナを隔てるベスキディ山脈の山奥に暮らしていた。戦争には直接参加しなかったため、村に降りると"臆病者"と罵られてウザ絡みされている。そんなある時、家にゲリラ化したナチスの残党が侵入してくる。彼らの目的は重傷を負った将校を回復させること。オンドジェイは家族を守るため、完全武装した男たちの条件に同意し、村から医師を呼んでくるが、一週間経って回復しても立ち去る気配がない。隔絶された土地で医師と一家が缶詰になる状況で、渋々ながら侵入者たちの横暴に従う父親を、幼いルカーシュは理解できず対立する。本作品は後の展開からヴラーチル版『わらの犬』と呼ばれているが、どちらかと言うとアレクサンドル・プロシュキン『1953年の冷たい夏』に近い気がする。重い腰を上げて侵入者を皆殺しにするまでに冗長とも感じてしまうような非日常の中の日常風景を入れるのもなんだか似ている。本作品も悪くはないが、残念ながら切れ味はそこまで良くないし、冗長な前半パートが後半に活かしきれていないので、ただただ冗長で終わってしまうのも勿体ない。80分以内にまとめていたらもっと良かったかと。
・作品データ
原題:Stíny horkého léta / Shadows of a Hot Summer
上映時間:100分
監督:František Vláčil
製作:1978年(チェコスロバキア)
・評価:60点
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