見出し画像

ヴィゴ・モーテンセン『The Dead Don't Hurt』過ちに気付いた男と気付かせた女の西部劇

ヴィゴ・モーテンセン長編二作目。開始早々病没するヴィッキー・クリープスもといヴィヴィアンとその遺体を埋めるヴィゴ・モーテンセンもといオルセン…と思ったら、クリープスが死ぬ前と死んだ後の物語を交互に語るという構造だった。ヴィヴィアンの死は時系列的には真ん中にあるのだが、物語的には最初にあるおかげで完全に"冷蔵庫の中の女"にしかなってないのが残念ポイント。オルセンは故国デンマークでの戦争に参加し、勝利はしたものの帰る場所もなく渡米したという過去を持っているが、家庭を顧みずに楽しいことだけするという"西部的な"性格は勿論変わらず、一方のヴィヴィアンは幼少期に父親を亡くした過去を持ち、ジャンヌ・ダルクみたいに戦いてえ!という進歩的な考えを持って、金持ちボンボンからのしつこい求婚を蹴ってオルセンについて西部へとやって来たのだった。前作同様、極めて単純化した構造と分かりやすい悲劇性を絡めるという面白味のない、しかもそれを130分もダラダラと続ける腹立たしいくらい凡庸な映画である。映画を見るに多分良い人なんだけど、正直モーテンセンに監督の才能はないと思うので、有名俳優だからってチヤホヤすんのはよくないと思いまする(ショーン・ペンもね)。同じ映画祭でモーテンセンはリサンドロ・アロンソ『Eureka』の西部劇パートにも出演していた。本作品の1/4くらいの上映時間だったが、そちらの方が明らかに面白かった。ヴィッキー・クリープスは頑張って魅力的に撮られていることだけは評価したい。

・作品データ

原題:The Dead Don't Hurt
上映時間:130分
監督:Viggo Mortensen
製作:2023年(カナダ, デンマーク, メキシコ, イギリス, アメリカ)

・評価:50点

いいなと思ったら応援しよう!

KnightsofOdessa
よろしければサポートお願いします!新しく海外版DVDを買う資金にさせていただきます!

この記事が参加している募集