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レイモンド・リー『ドラゴン・イン』やたら血の気の多い"龍門の宿"

大傑作。キン・フー『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(以下、原作)のリメイク作品。プロデューサーにツイ・ハークが参加している。いきなり東廠の訓練シーンから始まるのだが、雑兵が既に原作のトップレベルというくらいにインフレしていて笑えてくる。それに比例して主要人物の能力もインフレ気味で、原作は人間の延長線上にあった達人描写だったが、本作品では異能バトルみたいになってた(それはそれで面白い)。冒頭のバトルから、剣が湾曲し、人間ではありえない高さを飛んで、ラスボスが木端微塵にした剣の破片を投げつけてくる。これがこの世界の物理法則なのだ。"龍門の宿"の設定も大きく異なり、客を殺して金品を奪い死体は肉まんにするヒャッハー系民宿に変貌しており、宿には三勢力が居合わせることになる。また、主要登場人物も様変わりしており、原作でシュー・チュンが演じていた流れの武人シャオは本作品ではブリジット・リンが演じており、チョウ将軍と恋仲という設定まで追加されていた。そう考えると原作はかなりストイックに戦闘に特化していたんだなと改めて。謎の三角恋愛云々で中弛みはあるのだが、その二角がブリジット・リン(嫉妬してるの可愛すぎる)とマギー・チャンなので全然構わないのと、イカレ解体ニキが華麗に羊の丸焼きを等分したり、東廠メンバーを謎の結婚式の主賓にしたり、大体の展開が意味わかんないのと、戦闘シーンが最高にイカれてるので問題なし。特にラスト10分の戦いはマジで絶句するぐらい壮絶。原作でのラスボスとの戦闘は唐突で、しかもラスト1分くらいが打ち切り漫画くらい怒涛の展開だったのを、本作品でも継承した上で尺を伸ばしている。ただし、敵がドニー・イェンなので袋叩きにしないと殺せない感じは分かる。あと、Wikipediaに"ブリジット・リンが他に男装してる映画は『北京オペラブルース』と『スウォーズマン/女神伝説の章』です"という項目が出来てて草でした。

・作品データ

原題:新龍門客棧
上映時間:104分
監督:Raymond Lee
製作:1992年(香港)

・評価:90点

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