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フランチシェク・ヴラーチル『Clouds of Glass』空を飛ぶ夢、永遠の憧れの詩

フランチシェク・ヴラーチル劇映画初監督作。徴兵期間中(1951-1958)、軍事映画スタジオに配属されていたヴラーチルは、同い年の監督カレル・カヒーニャや後に初長編『白い鳩』の撮影を担当する Jan Čuřík などと出会う。軍事映画スタジオで主に撮っていたのは教育プロパガンダ系の短編映画だったが、唯一本作品だけはそういった枠組みから外れている。本作品は農園を営む老人とその孫の物語である。煙突に登った少年と地上に座る祖父を一つの画面に収めたショットの高低差は初長編『白い鳩』での高低差ショットを感じさせる。少年は自作の飛行機を飛ばして祖父のビニールハウスの屋根を破壊してしまうが、祖父は怒るどころかその飛行機を直し、自分が持っていた空への憧れへと重ね合わせる。そこに、パイロットとして現役で活動する少年の父親も登場し、実際に飛んでいる戦闘機のコックピットから空を観た映像も挿入することで、父親の空への憧れも映し出す。がっつりプロパガンダな気もするが、それを憧れやノスタルジーとして描いているのが、お役所仕事としては特殊事例なんだろう。自滅してでも空を飛びたいという願いは、後のヴラーチルの人生をも暗示している。

・作品データ

原題:Skleněná oblaka
上映時間:18分
監督:František Vláčil
製作:1958年(チェコスロバキア)

・評価:80点

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