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ファルハット・シャリポフ『Scheme』カザフスタン、ある愚かな青春についての物語
高校生マーシャは"大人の世界"に憧れている。その最も身近な窓口が、ショッピングモールで出会ったイケメンのラムという青年だ。彼に会うために授業中もスマホに張り付き、彼が求めるブルネットの友人を召喚し、補導されようと、泥酔して乗り込んだタクシーで見知らぬ場所に連れて行かれそうになろうと、パーティに参加し続ける。そして、会場でラムを追い回し、浴びるほど酒を飲んで、引くほど麻薬を吸引する。やがて、"パーティに来るだけで金をあげる"というラムの誘いに乗って、見知らぬアパートでバスローブのおっさんを接待するパーティに参加し始める云々。当初は両親も強めに止めに入っていたが、突然ラムとの仲は公認となり、映画からフェードアウトしていく…んだが、この両親もネズミ講に入りかけていたり、娘からの高価なクリスマスプレゼントになんの疑問も持たないなど、かなりヤベェ人物として描かれており、盲目に恋にのめり込んでいくマーシャを一方的にバカに出来ない大人たちの愚かさも同時に描かれているのが興味深い。
コカインをスマホの上に置いて、暗闇の中で必要なときだけ光らせながら吸引するシーンが、妙に幻想的で面白かったのと、スプレーでブルネットに染めた髪を洗い流す際の、"穢れ"が落ちていくようなシーンが良い。ラストで標識を映すのは、マーシャの行為をある種一般化する狙いがあるのだろう。時間省略も含めて色々荒々しい映画で不思議な気分になった。
・作品データ
原題:Skhema
上映時間:73分
監督:Farkhat Sharipov
製作:2022年(カザフスタン)
・評価:60点
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