Ariadine Zampaulo『Maputo Nakuzandza』モザンビーク、マプートのある一日
2023年ワガドゥグ全アフリカ映画祭コンペ部門選出作品。モザンビーク首都マプートの朝は早い。夜が明け始めると同時に、若者たちは酔いを醒ましながら帰路につき、女たちは朝の支度を始める。その横では"Maputo Nakuzandza(マプート、あなたを愛してる)"というラジオ番組がニュースや天気を読み上げている。そして、マプートでのある一日が始まる。無我夢中で道なき道を走る黒Tシャツの男、結婚式から脱走した花嫁、髪の毛を盛りまくった陽気な旅行者といった特徴的な、それでいて個人として認識されていない人物が、曰く"幽霊のように"画面に出たり消えたりしながら、マプートに残された植民地支配の名残を追い、それに併せてモザンビークの詩人たちの力強い詩が朗読される。特に脱走花嫁の挿話は興味深く、廃墟に囚われたヒプノティックなイメージは鮮烈。映画の8割の音声は上記ラジオの声で、このラジオで花嫁包囲網が形成されているが決して捕まえられないことを考えると、本来ならば叶わない彼女の逃避行を映画が成功へと導いてやる、といった感覚すら覚える。でも、一番のお気に入りは激混みのミニバスに中腰で立ち乗りしてるところ。現地の人もモザンビークといったらこれでしょ、という認識なんだろうか?
・作品データ
原題:Maputo Nakuzandza
上映時間:60分
監督:Ariadine Zampaulo
製作:2022年(モザンビーク)
・評価:70点
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