アトム・エゴヤン『Calendar』アルメニアの教会群でカレンダーを作る夫婦の物語
大傑作。アトム・エゴヤン長編五作目。ある写真家とその妻は、カレンダー用写真の撮影のためアルメニアを訪れる。運転手兼案内人のアショットが熱心に教会やその歴史を解説してくれて、妻は熱心に聞き入って翻訳する一方、写真家は表面的な構図にしか興味がなく、長話をして惹かれ合っているようにも見える二人に嫉妬している。撮影されたアルメニアでの映像は全て写真家の一人称視点であり、興味のない箇所は飛ばされ、思い返したい箇所は何度も巻き戻される(普段通りの時制操作だがここでは奇跡的なまでに上手くい