ラヴ・ディアス『West Side Avenue』ここにいるためにアメリカ人となる必要はない
大傑作。ラヴ・ディアス長編四作目。アメリカ、ニュージャージー州の歩道で、フィリピン人の少年ハンゼル・ハラナが射殺された。ラヴ・ディアスらしからぬ深夜の雪深い歩道で幕を開ける本作品は、アメリカを舞台とした5時間の大作であり、キャリア最初期の記念碑的作品と見做されている。脚本家として働いていた時代に偶然招待されて行ったアメリカで、フィリピンでは得られない自由さ、異なる観点、インディペンデント界隈の人々のエネルギーを肌で感じたディアスは、その後数年間アメリカに滞在していたらしい。フ