20240907
ホメロス『オデュッセイア』(松本千秋訳、岩波文庫)を読んだ。古典と呼ばれるものは何となく避けてきたが、もっと早く読んでいれば良かったと古典に対する考え方を改めさせられるくらいに面白かった。古典が古典と呼ばれる所以もよく分かった。どうしても、古典と言われると格調高い、教養的な敷居の高さを感じてしまうが、オデュッセイアの場合は、かなりエンターテインメント性の高い物語だと思う。前半はテレマコスの父オデュッセウスの巨人あり、魔術ありのファンタジー冒険譚であり、後半はオデュッセウスの妻に言い寄る求婚者たちへのテレマコスとオデュッセウスによる血まみれの復讐劇というクライム要素がカタルシスになっている。この物語が長く読み継がれるのも納得の読者へのサービス満点で現在のハリウッド的エンタメ作品に通ずる点が数多く見受けられた。