20240921

 ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』(中野信夫訳、岩波文庫)を読了した。船乗りのマーロウが語るアフリカ奥地での体験と象牙蒐集に憑りつかれ、病に倒れたクルツという謎多き男の最後。何の前情報もなく読んだので、クルツがいつ登場するのかとハラハラしながら読んでいたのだがかなり後半で出てきてやきもきした。マーロウという登場人物は他の作品でも登場するらしく、著者自身が彼のキャラクターに反映されていると解説で読んだ。自分を他者として描くのはヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』や、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』でも見られるモダニズム文学の潮流となった、いわゆる「意識の流れ」の先駆的作品である。やはり、自分はこの辺りの小説が好きなのだと改めて思った。

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