20240629

 合田正人『ハイデガーと田辺元――封印された哲学――』(PHP新書)を読了した。西田幾多郎に次ぐ第二の日本近代哲学者として西田やハイデガーの哲学に異を唱え、『種の論理』を書き上げた田辺だが、敗戦後は哲学者としての在り方を省みて『懺悔道』へとその答えを求めていった。それでも、戦後は西田が読み継がれることはあっても、田辺は長らく無視されてきた。いま『種の論理』を読んでも、やはりそこには民族主義、ナショナリズムへと繋がる危うさを孕んでいることが分かる。それを踏まえた上で、彼が取り出そうとしたレヴィナスやレヴィ=ストロースと同じような問題意識を再考することは重要なことだろう。

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