20240914
T.S.エリオット『荒地』(岩崎宗治訳、岩波文庫)を読んだ。「四月は残酷な月……」という有名なフレーズで知られるエリオットの代表作だが、彼の師でもあるエズラ・パウンドによって大きく手を加えられていると解説で知った。難解と言われる彼の詩、確かに引用や隠喩などを知ろうとすると膨大な知識を有することは間違いない。それでも、詩というのは情感に訴えるものが大きい魅力がある。「荒地」には、わたしがロンドンに滞在していたこともあってか、ロンドン――〝Unreal City〟として描かれる街並み――を思い出しながら読むといっそう胸に迫るものがあった。