映画 『秘密と嘘』
巧妙な俳優任せのアドリブ劇
ロンドンに住む不遇の婦人シンシア、ある日14歳で産んで里子に出された娘と再会する。そのことから、シンシアの一族の間の隠されていた軋轢が表面化する。
マイク・リーの「最初に設定だけ渡して、あとは俳優任せ劇」の完成形と言える映画。ベテラン俳優たちを起用することにより、即興劇の混乱が少ない。
例えば…主人公と娘が初めて対面するシーン。相手のことを知らせず、延々駅前で待たせた挙句に「ひょっして?」と声をかけるまで自由にさせるとか…
それでも互いに様子を窺ったり、勝負どころと捉えて泣き出す俳優など…その空気や目線などが物語の緊張感を高める。しかも主人公のイギリスのオバチャン加減が絶妙で、映画慣れした人に観てほしい。