漂いながら
はるか遠いむかしより
あの世とこの世のすきまを漂いながら
この世のいとなみを
眺めてきた
あるときは男の肩の上に乗り
あるときは女の腕の傍に立ち
魚眼のごとく眺めるその
景色は
見ためのちがいは多々あれど
なかみはほとんど
おんなじだ
ものごとを決める者
したがう者
そして
異をとなえる者
互いに相入れることの
ない者たちが
繰りかえす
ちいさな衝突
おおきな諍い
止むことのない
涙
だがときに
互いを越える瞬間が
訪れる
そこにはかならず
わらいと
一人ひとりの顔
互いを越えるのはいつも
わらいと
一人ひとりの顔
わたしは眺めつづける
わらいに包まれた
一人ひとりの個が
この世にゆたかな実を落とし
やがて一面の花となる
日を夢見て