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夢売買人(一話完結連作短編)

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#小説

1.夢で逢えたら

 2つ年上の幼馴染が結婚を決めた日、大輔は奇妙なノボリを見かけた。
『あなたの夢、売ります買います』
 古本屋だろうかと目を疑ったが、どう見ても『あなたの』に続く言葉は『本』ではなく『夢』である。
 普段ならこんな怪しげなものは無視して素通りするところだが、今日は何故か、ひどく興味をそそられて、その小さなビルに入った。
 細い階段を上がると目の前のドアにまた同じ文句が書かれていた。
『あなたの夢、

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2.夢か現か

 朝ごはんはケーキ。
 昼ごはんはドーナツ。
 夕ごはんはクッキー。

 朝ごはんはストロベリーパフェ。
 昼ごはんはチョコレートパフェ。
 夕ごはんはフルーツパフェ。

 朝ごはんはクレープ。
 昼ごはんはホットケーキ。
 夕ごはんは………。

 マミは目の前に置かれたアイスクリームを見てうーんと考え込んだ。
 お菓子ばかりねだるマミに母親は「ちゃんとご飯を食べなさい」とよく怒ったのだ。
 その

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3.夢の随に

 あーこれは夢だなあ、と思った。
 ピンク色の烏が飛んでいる下を赤い象が闊歩している。
 わかりやすい夢だ。
 なので、この夢は売ることにした。
『おーい、漠。いるんだろー』

「毎度ありがとうございます」
 背広姿に眼鏡をかけた若い男はルックスに似あわぬことを言った。
 真二は笑って二人は手近に会ったベンチに腰を下ろす。
『いくらくらいで売れそうだ?』
「そうですねえ、ざっとこんなところでしょう

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4.夢の中で

 誰かが呼んでいる。
 女の子が呼んでいる。
 大人の女性が呼んでいる。
 誰かが自分を呼んでいる。

 正弘はむっくりと起き上がって頭を掻いた。
「夢か…」
 このところ、毎晩。
 女性に呼ばれる夢を見る。
 ある時は子供だったり。
 ある時は大人だったり。
 それが誰なのかよくわからない。
「夢ってどんな夢?」
 隣で眠っていたはずの彼女、美佐子が目を開けて聞いてくる。
「言うと怒るからいい」

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