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川辺都
2017年12月30日 02:27
2つ年上の幼馴染が結婚を決めた日、大輔は奇妙なノボリを見かけた。『あなたの夢、売ります買います』 古本屋だろうかと目を疑ったが、どう見ても『あなたの』に続く言葉は『本』ではなく『夢』である。 普段ならこんな怪しげなものは無視して素通りするところだが、今日は何故か、ひどく興味をそそられて、その小さなビルに入った。 細い階段を上がると目の前のドアにまた同じ文句が書かれていた。『あなたの夢、
2017年12月30日 02:29
朝ごはんはケーキ。 昼ごはんはドーナツ。 夕ごはんはクッキー。 朝ごはんはストロベリーパフェ。 昼ごはんはチョコレートパフェ。 夕ごはんはフルーツパフェ。 朝ごはんはクレープ。 昼ごはんはホットケーキ。 夕ごはんは………。 マミは目の前に置かれたアイスクリームを見てうーんと考え込んだ。 お菓子ばかりねだるマミに母親は「ちゃんとご飯を食べなさい」とよく怒ったのだ。 その
あーこれは夢だなあ、と思った。 ピンク色の烏が飛んでいる下を赤い象が闊歩している。 わかりやすい夢だ。 なので、この夢は売ることにした。『おーい、漠。いるんだろー』「毎度ありがとうございます」 背広姿に眼鏡をかけた若い男はルックスに似あわぬことを言った。 真二は笑って二人は手近に会ったベンチに腰を下ろす。『いくらくらいで売れそうだ?』「そうですねえ、ざっとこんなところでしょう
2017年12月30日 02:30
誰かが呼んでいる。 女の子が呼んでいる。 大人の女性が呼んでいる。 誰かが自分を呼んでいる。 正弘はむっくりと起き上がって頭を掻いた。「夢か…」 このところ、毎晩。 女性に呼ばれる夢を見る。 ある時は子供だったり。 ある時は大人だったり。 それが誰なのかよくわからない。「夢ってどんな夢?」 隣で眠っていたはずの彼女、美佐子が目を開けて聞いてくる。「言うと怒るからいい」