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短編

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短編小説をまとめました
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#恋愛

兄嫁

 高いところに上ると、ここから身を投げる自分の姿を夢想するんだ。
 ある時、十年上の兄がそう言った。その場所がデパートの屋上だったので、幼かった僕は兄の服をしっかりと握った。
「冗談だよ、伸二」

 しかしまた帰りの駅で兄は飛び込みを夢想し、僕は再び彼の服を握ることになるのだ。

 学校帰りに駅前の喫茶店に寄った。暗い店内に先客は、カレーライスを頬張る痩せた眼鏡の男がただ一人。僕はカフェオレを注文

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トイ・プードルが知っている

 私の名前は高枝こずえ。どうして名字が『高枝』なのに名前が『こずえ』なのかを話せば長くなる。長くなるけど要約すると、ひいおばあちゃんの名前をもらった、そういうことだ。
 職業は中学生。成績は優秀な方で生徒会長もやってる。陰で『氷の女』と呼ばれているけど気にしていない。気にしてないよ、陸上部の部長。運動場使用禁止令はまだ解除しないよ。陸上部全員でその辺グルグル走ってろ。
 そこまで思いをめぐらして、

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白いバラをあなたに

白いバラをあなたに

 窓から入る夕日が目にしみる。
 静かな部屋に響くのは自分の呼吸音と手持ちぶさにめくる雑誌が擦れる音。
「帰ろうかな……」
 答えるように水道から雫がピチョンと落ちた。
 すでに2時間、待ちぼうけ。
 事前に何のアポもとらず、突然ふらりとやってきた。この部屋の主が家にいないのは当たり前。それでなくとも、彼女は忙しい。付き合い始めて1年になる伊崎友香は、静かにブレーク中のモデルさんなのだから。
 と

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カタコイ

カタコイ

 伸ばした手は空をきり
 紡がれた言葉は宙に浮いて
 どちらも決して届かない

 人はそれをカタコイという。

 中学から高校へ進学し、彼女はセーラー服からブレザーへとその姿を変えた。
 そして、短かった髪を伸ばし始めたのも高校へ入ってからだ。

「……こうしてポリスが作られ、その後、ギリシャは……」
 月曜日、5時間目の世界史。
 催眠術にかかったかのように、クラスメートが一人、また一人と机に伏

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うんてい

うんてい

「代表委員」
 声に視線を戻す。

 うんていの柱にもたれかかり、スーツ姿にネクタイを締めたその男はにかっと笑った。
「おっす」
「……おっす」
 右手を上げた彼に返事を返して足を止める。

 今日は、小学校の同窓会だ。

 20歳になった成人式の日に同窓会をやる。
 うちの小学校のこの行事がいつから続いているのかはわからない。

 けれど、確実に言えるのは。
 同窓会なんて来るんじゃなかったとい

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