金曜日ラビは寝坊した/ハリィ・ケメルマン
ラビ(ユダヤ教の立法学士)という職に就くディヴィッド・スモールの評判は、信徒の間で、決して良くはなかった。というのも、根っからの学者肌である彼にとって、夢中になった本がある限り、ボサボサの髪やしわくちゃの服というものは、些細な問題に過ぎなかったからだ。
そんなラビを次期も採用するか否かの討議が、信者の間で行われている折、ラビの車のそばで、女性の絞殺死体が発見される。当然、自分にふりかかってくる疑いを、彼は退けることが出来るのか?
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞。 ラビ・シリーズ第一弾。
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ケメルマンと言えば、『九マイルは遠すぎる』という短編集が代表作ですが。実は、この長編のラビ・シリーズも、思わず唸ってしまう推し作品なのですよ。
このシリーズは『○曜日ラビは・・・』とすべての曜日の数、過去に刊行されていますが、残念ながら現在は絶版となっているものが多い(全部?)のです。その中でもまぁ、比較的手に入り易いのは、この『金曜日』のようなので、今日はこちらを。(でも、何故か家には結構揃っていたりします)
内容はと言えば、
『一見すると頼りなさげ~なラビが、終盤で怒涛の論理展開を見せるというこのギャップに、爽快さを見出してしまおうではないか』
というギャップ萌えミステリです。←筆者の偏見に満ち満ちています、すみません。
死体がバラバラだったとか、
閉塞された空間で起きた殺人だったとか、
予告殺人だったとか…
このミステリには、確かに、派手な演出は一つもありません。ただ、そこにあるのは「ラビ本人が、一番犯人として疑わしいではないか」という事実のみ。
でもそれを如何に論理的にひっくり返すことが出来るのか…ミステリを読み始めたばかりのあの頃(どの頃?)の、純粋に推理の過程を楽しんだトキメキを思い出せるのです。
これぞ、まさしく『推理』小説。
さて、ここまで感想を書きましたので、楽しんでいただきたいのは山々ですが、なにしろ絶版本ですからね…皆さんにはまず、この本を手に入れるところから始めていただかないといけないんですよね…。
Good Luck!←オニ
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