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雨だから、SADEを聴くのだ。

ある6月の日曜日のことですが、その日は厚い雨雲に覆われて、昼間だというのに薄暗く、ザァザァと雨が降っていました。
梅雨の雨ですからジメジメとして蒸し暑く、空気も重たい感じです。

こんな日は家で大人しく過ごしたかったのですが、所用で外出せねばなりませんでした。

これから30分くらいは車での移動になります。

玄関のドアを開けて、すぐ側にある車に乗り込むまでにも雨に濡れてしまいした。
無風のため大粒の雨はただひたすら真っ直ぐ地表に落ちてきます。

エンジンを掛けて出発ですが、こんな日には聞きたい音楽があります。

それがSADEシャーデー

最近は外国人のお客さんと仕事をすることが増えてきたのですが、自分は英語が得意でないのです。
何を言っているかよくわかりません。
そして更に商習慣の違いもありまして、彼らに合わせようとまあ苦労します。

そんな中で、いつの間にか大好きだった洋楽を聴かなくなってしまいました。
気分転換には日本の音楽の方が丁度良かったのです。

だけどSADEだけは特別。

自分とSADEとの出会いは高校生の頃でした。
今でも付き合いのあるただ一人の友人が、当時SADEのアルバムDIAMOND LIFEを貸しくれたのです。

「何これ?シェイド?・・サディ?」

と言うと、友人は「シャーデーだよ。シャーデー知らねえの?」とこちらを見て「ダセェなあ」といった仕草で肩をすくめていました。

「SADEは雨の日に聴くと最高なんだ。聴けばわかるから持ってけ。」

とのこと。
今思えば彼は随分とマセた高校生ガキだったと思います。

取り敢えず聴いてみると、SADEの大人びた雰囲気、ボーカルのSade Aduが発するハスキーで美しい声。
どの曲も素晴らしく、捨て曲無しという高い完成度。

一気にSADEが大好きになりました。

友人は雨の日にSADEを聴けと言っていましたが、確かに雰囲気はわかる気がします。
曲調から思うのは、夕暮れ時とか、雨の日とか、静かな夜とかそんな時が似合います。

それから自分の中ででは、SADE=雨というのが定着してしまいました。
蒸し暑く、熱帯のスコールのように重たい雨。

当時、CDについていた歌詞カードを見ながら何回も聴きました。
歌えるくらい英語の歌詞を覚えましたが、雨について歌っているワケでは無かったみたいです。

懐かしいですね。

やっぱりこんな重たい雨の日に聴くSADEは最高だなあ。

車のフロントガラスに当たる雨粒は無限に繰り返すフラクタルのようで、ワイパーが動き出すとそれらは一気に消えてなくなりますが、すぐにまた蘇ります。

音楽のリズムとワイパーのリズムはズレているのですが、時々同期するようで、その動きを目で追ってしまう。

てな事を考えていたら信号が青に変わり、また車は走り出します。

向かった先に待ち受けるのは、暗いコンクリートの建物。

そう、それは会社という闇の要塞。
つまり休日出勤です。

日曜日に仕事なんて、、、まったく(-_-);

こんな最悪の気分でも唯一の救いがSADEです。

SADE最高!

文+イラスト : ケーモティック

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