愛おしいものは、宇宙なんだ
好きな人は宇宙だ。
だって何にも知らないから。
金曜日みたいな木曜日に、僕は思った。
金曜日らしい金曜日がいちばん嬉しいのに、まだ木曜日だったから泣きそうだった。
明日は雨みたいだが、金曜日なんて、いつだって雨でいいとは思わないか?
低気圧がきているから、やる気を出さなくていい。いつもみたいに元気でいなくていい。
ただ時が過ぎるのを待つだけの、雨の金曜日。
月曜日は地獄みたいで、金曜日は天国みたいだから困るな。
1週間のうちに地獄から天国を味わえるなんて、それはそれでいい、、わけはない。
日々に疲れたら、夜部屋の電気を消して、窓を開けてぼーっとする。
しばらく寝転んでいて、外から入ってくる空気のように静かにしていると、
このまま何も変わらずに老いていく自分が見える。
徐々に暗闇に目が慣れていくように、どこへ行っても慣れてしまうものだ。人間は。
そうして、いつの間にか、何か大切なものを忘れてしまう気がして、少し怖い。
窓から外を見ると、空の一部分が赤かった。
まだ夜の12時だというのに、朝が来てしまうのかと思った。
明けてしまわないで。
どうかまだしばらくは、夜でいて。
寝ている間に隕石が落ちればいい。
眩し過ぎる光を放ちながら地面に落ち、その衝撃で何もかもが地球の外に弾き出されたとき、
もしかしたら僕たちは知らない星で、本当の幸福を見つけるかもしれない。
なんちゃって。
(fiction)