未来2023年9月号詠草 『セントエルモの終わり』
未来2023年9月号詠草 『セントエルモの終わり』 風野瑞人
青い指こすりあっては消えそうなセントエルモの光を思う
拒絶して拒絶してって願ってもゆっくりそれは胸の奥へと
堕天使の堕の字にすがる 箱庭に理由ばかりを敷き詰めながら
太陽の南中する頃いつか見た行方知れずの希望の影は
ノックしたドアの向こうの自分から返事が届く 声は黄昏
しみついた孤独と汚れなすすべもないまま見つめる掌のすじ
ろうそくの灯りの消える音がする いや違うそれはいのちの音だ
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