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『Local Natural Environment』を伝え・考える Vol.5(Mt.Sobo編)

先週末は、久々に一人でゆっくり山登りに出かけてきました。
47ℓ ザックに衣食住を詰め込み、8年ほど前に苦労して歩いたルートを再び挑戦? してきました。

新調して出番を待っていたニューザック
前回モデルもよかったですが、微修正されますますよくなったエクスペドのザック


今回の山は、宮崎県最高峰の『祖母山』1,756.4m。
本州の山のように【映え】感は薄いですが、宮崎県、大分県、熊本県に稜線を伸ばし雄大な縦走路を持つ大きなお山です。
よって、登山口も各方面から数か所ありふもとの山の各地域の生活に普遍的な影響を与えております。特に宮崎県高千穂町は、神話とのつながりも深く
神武天皇が東征した際、紀州沖の海戦において台風で船が覆りそうになったが、その祖母の故国である祖母山(添利山、そほりやま)のほうを向いて祈念したところ、波が収まって難を逃れたという伝説がある。なお『古事記』、『日本書紀』、山幸彦と海幸彦神話などでは、トヨタマヒメが神武天皇の祖母である。祖母嶽下宮八社の一つである祖母嶽神社(祖母嶽大明神)が、その祖母を祭った神社であるとされている。

神話の山。祖母山360度の眺望を楽しめます。

少々話がそれましたが、前回このルートを登った際、ローム層の足元がヌルヌルで取れ、四苦八苦しながら稜線に出た記憶があり正直あまりいいルートのイメージではありませんでした。しかし、月日がたち幾度の大雨、台風のおかげなのか、表面のローム層(泥)が洗い流され比較的歩きやすいルートとなっておりました。そして、僕自身の登山スキル、体力、そして信用できる登山アイテムのアップデートにより、とても快適な登山が出来ました。

障子岳山頂から次のピーク、天狗岩を確認

そして、今回のルートで紹介したい一つとして、傾・祖母縦走路で絶景の障子岳。比較的登られている親父山から障子岳。この区間の鹿被害による原生林の破壊。倒木・山崩れは、認知しておりました、しかし、障子岳から天狗岩までの縦走路の同様の被害は、比較的新鮮で被害も大きく物凄くショックな景色でした。

戦闘でもあったかのような木々たちの屍


以前から、地元のアウトデアショップのオーナーとこの手の環境問題の話はしておりましたが、あまりの無残さに山で一人呆然としてしまいました。
人のできることは無力。たかが鹿、されど多勢に無勢。
無法地帯と化した山奥。鹿は、本能で下草をついばみ、下草が無くなれば草木の新芽を喰い、新芽を失った木々は、光合成もできず、下草の無いローム地盤は、雨が降れば崩れ、木々の根の無い粘土質の大地は傾斜に伴い滑っていきます。

この原生林の姿が普通なのでしょうか(涙)


ここで鹿たちの繁殖率についてです。
産まれたばかりの0歳の鹿には妊娠能力はありませんが、1歳のメス鹿には排卵があり、妊娠能力があります。2歳になった鹿はさらに妊娠能力が高まり出産率も高くなります。鹿は他の動物と異なり、ほぼ毎年出産します。このため、鹿は繁殖力が高いのです。近年、日本においては鹿の数が急増しています。これは鹿の繁殖力の強さだけでなく、地球温暖化により大雪が降らなくなり冬が越しやすくなったことや、猟師も減り、鹿の天敵であるオオカミが絶滅したことや人の過疎化が進み、人間と鹿の境界線が変化したためだといわれています。

鹿たちも生き物です。しかし、バランスが必要かも。

地元自治体や、山岳会、環境保護団体も鹿よけネットなどの処置は、講じていただいているようですが作業を行うことは、非常に重労働です。尚且つ、高齢化も進んでおりSDGsとか政治家はこぞって言っておりますが、地元の環境問題を最優先していただきたいものです。
ぼくも今できる事。定期的に同じ山に登り変化を感じ、伝え、学び、発信し、交流をもって作業に参加するなど、地元の自然にはぐくまれていることを忘れず、微力ながらアクションを起こしていきます。

この美しい縦走路を子供達の世代にも残していかないと。


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