冨樫倫太郎著『SROⅪストレートシューター』中公文庫
読み続けているシリーズ作品の一つ。
シリーズ当初はワクワク感があるも、重ねるに連れ、単調になったり、残虐性が強まったり、登場人物が多くなり相関性がよく分からなくなったりと、ストーリーの深みより表面的な部分がこんがらがった糸みたいになることが多い。読んでいるほうも楽しみよりも、ここまで読んでいるからという意地になることがある。そんな中での本作品、若干、意地になりつつあったが、また、楽しみになる期待感を持てる作品だった。まさか、最後に新たなモンスターの誕生に繋がるとは!?もし、今までの房子が続くとキツいな~と思っていたので、いい意味で裏切らた。房子の残虐性は、これまでも描かれていて、本作も死体の処理などで表現されている。この辺り、房子の心理からの残酷性に飽きるというか、慣れてしまってきており、食傷気味だったので、新たなモンスターがどのような心理で、SROと向き合うかが楽しみになった。ただ、SROのメンバーが相当に追い込まれているなと。メンバーが殺されたり、家族含め事件に巻き込まれたり、精神的に落ち着くことがない、24時間緊張を強いられる状態。これから、物語が続く中で、より緊張に晒されると思うが、ストーリーに無理矢理感というか、ここからさらに、追い込まれた時の行動、言動を表現し切れるのか。犯人との闘いが完全に小説の世界に行き切らない、どこか、日本のどこかで同じようなことが起きているのではと、感じさせる読み進める上でのスリル、緊張感を残せるか。楽しみにしたい。