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元優等生現問題児〜(8)近くて遠い父

最悪な気分で目が覚めた月曜日の朝だったが、父と共に登校できるのが唯一の救いだった。電車の中では、昨晩の夕食の話にはお互い触れず、当たり障りないテレビ番組の話で盛り上がる。ふと沈黙になった時の父の目がすごく哀しそうに見えるから、私は必死に話題を振っては沈黙を防いで笑わそうとした。そんな自分を何だかとてもみすぼらしく感じた。お互い乗り換えでそれぞれ別のホームに向かう間際、彼は言った。



「学校はどう?」



聞かなければならないから聞いた、という風な感じだった。そういう時、父は決まって眉をひそめながら話す。



「先週は行ったよ」

「勉強追いつけそうか?」

「ぼちぼち…」

「そうか…じゃあ、今週も頑張って」



その後別れてすぐ電車に乗った。

本音の会話を父と最後にしたのはどれ位前だっただろう。私含め家族に一番尽くしてくれているはずの父が、私から一番遠い人に感じる。

電車が発車して、更に父と私の距離が離れて行く。





私はこの世界で一体誰と確かに繋がっているんだろう。誰が私を必要としているんだろう。

そして、そんな世界で私は何を頑張る意味があるんだろう。



そう思いながら私は電車に揺られていた。


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