話題の本「母になって後悔してる」を読んで2児の母が思ったこと
衝撃的なタイトルに惹かれて、Amazonで検索すると在庫切れのため、kindleで購入しました。
NHK※で取り上げられ話題になったそう。
※NHKクローズアップ現代『母親の後悔その向こうに何が』(番組HPリンク貼ってます)
「母になって後悔してる」
著者は、イスラエルの社会学者(博士)、社会活動家であるオルナ・ドーナト Orna Donathさん。
イスラエルは出生率3.0ということなので、日本との背景の違いもあるが、私は内心ドキドキしながら読み進めた。
(参考までに、WEF発表のジェンダーギャップ指数2023年は、イスラエル83位、日本125位)
読み進めるうちに、かなり心に迫るものがあり、途中苦しくて休憩しながらなんとか読了。
学術論文なので、決して読みやすくはないが、これほどまでに感情を揺さぶられる経験は久しぶりだった。
特に私が心の残ったフレーズ
珍しくkindleで読んだのでハイライトとメモが膨大になってしまったが、その中でも特に心に残ったのはこちら
この母に対する定義を見て初めて、そうできない、許されない、許せない母親がいかに多いかということを目の当たりにした。
これまで、私は、母親であることと、自分の人生を謳歌することは、特に矛盾しないと感じていた。
世間からの母性の押し付けや、性的役割分担、母親へのプレッシャーはくそくらえ!と常々思っており、母親であることはそんなに悪いことでもないと考えている。
実際に、日々は慌ただしくも、子どもたちは最高に可愛い。
が、そう思えるのは、母親としての役割を全うするためのリソースが揃っているという幸運が大いに関係あるのだと気づかされた。
母になって後悔する女性がいてもおかしくないだろう、と2児の母である私は思う。
正直、多かれ少なかれ後悔する瞬間はある。
とても仲の良い友人とでさえ、「子ども産んで後悔してるか否か?」という会話はほぼされない。
しかし、これまで、ないものとされていた許されない感情を、丁寧にヒアリングし、それは確かにある、と世に送り出したことがこの本の最大のポイントである。
女性としての生きづらさ、
母親に課された重責、
日々のもやもや、
母をやめたいと思う気持ちと子どもたちへの愛情との矛盾…
それらが明確に言語化され、検証されたことに、なんだかホッと安堵する気持ちもあるのだ。
第一子妊娠時に実母に言われたことば
8年前、第一子を妊娠して、我が家は大いなる喜びに包まれていた。
両家にとって初孫・初子である息子は、その誕生をみんな心から待ち望んでいた。
母である私はというと、ギリギリまで働き、これから始まる子育てに対して思いを馳せる暇もなかったのが実情であった。
出産数週間前、無事産休に入り、実母とゆっくり会話できる時間がとれて言われたことば、
その時は、笑ってかわしたが、後から泣いた。
そして、そこまで愛情をもって子どもを育てられるのか、ずいぶん不安になってしまった。
そもそも私は、私が一番大事!で生きてきた。
子どもが産まれても、子どもを理由にいろいろなことを一時的に諦めなくてはいけなくなったとしても、長い人生いくらでも挽回できると信じていた。
子を持った正直な感想
子育ては想像以上に困難だった。
育休から復帰して、仕事をすることがなんて、なんて楽なんだ!!!!と感動したものだ。
仕事相手とはフツーに意思の疎通ができる、トイレにゆっくり入れる、座って珈琲が飲める、ランチタイムがちゃんととれる。
事あるごとに達成欲阻害され、ストレスがたまっていた私にとって、仕事は生産性のある趣味になった。
乳児、幼児、小学生…とフェーズが変わるたび、また違った大変さがある。向き不向きもあるだろう。
しかし、お世話(食事・排泄・睡眠)の手間が少なくなり、子と意思の疎通ができるようになると、母親として子どもにしてやれることは、自分自身がご機嫌でいられるように努力することだけだと気づいた。
世間に求められる母親としてではなく、大切な子どもを"ファン"として支える。
責任を背負い過ぎる必要はない。教育投資は推し活、親の趣味だと割り切る。
我が家では、夫とその日に我が子が可愛かった瞬間選手権を毎日繰り広げていて、息子がこんなにすごかったんだよ!とか娘がこんなかわいいことやっててさ!とかをシェアしあっている。
それはまさにファンに近い、推し活のために、推しである息子や娘に課金してまくっている。
有給の仕事と母親業の掛け持ち
両方に完全に目配りしなければ!というプレッシャーを感じる女性は多い。
しかし、私は初めからそんなの無理でしょと自分に期待を一切していない。
今まで幸運なことに、母としての困難にぶち当たった時、誰も「弱音を吐くな、母親なら何とかしろ」とは言わなかった。
夫、親、友人、まわりの大人が一緒に考えようと言ってくれ、私が不得意なことは代わりに担ってくれた。
「お母さんが弱音をはくな、お母さんはあなたしかいない」というメッセージは少なくとも私の周りにはない。
だから私は、困ったら助けてと頼ってもOK、母親として自信がないからこそ、保育園やベビーシッターなどプロに全面的に頼れることができた。
自分が子どもを一人でみるよりも、社会で育ててもらったほうが安心感がある。
3歳まで母親がみるべきという論調も、ちゃんちゃらおかしいと思う。
自分が子育て責任をすべて持たなければ!と思い込んでいる人はある意味すごい自信なんだな~と思ったりする。
しかし、それは、私一人で勝ち取ってきた幸運ではないのだということもよくわかっている。
運も実力のうちとは、私はどうしても思えない。
そういった多方面の支援にリーチしづらければしづらいほど、母になったことの後悔は大きくなるのではと思う。
では、母として次世代にできることは
と、この本の筆者は論じている。
筆者は子を持たない選択をしている立場で、未来を見据える。
子を持つ、持たない選択に対し各自が後悔がないこと、後悔が少ないことが正しい姿だとすれば、子を持つ選択をした私は、具体的にどうしたらいいのか?
ここからはすでに母親である私の私見を述べる。
①母親は、自分ですべてやらなきゃという傲慢さを捨てる
②父親は、子育てできない父親=仕事もできない、と心得て、子育て初心者の妻とタッグを組み日々鍛錬
③母親は周りを信頼する
④使えるリソースはすべて使う
⑤自分勝手な自己犠牲は夫も子どもも他人も大迷惑、常に自分のご機嫌は自分で取る
⑥選ばなかった未来に後悔をしない、人生100年時代いつからでもやれる(但し、産める時期は限られることを忘れない)
⑦母親という自分を解放する時間を定期的につくる
⑧世間や他人の心無いことばは無視
⑨睡眠・栄養・休養をしっかりとる、これらが不足するとろくなことにならない
⑩生きているだけで超えらい!と自分を毎日毎分毎秒褒める
⑪他人の人生に口出しする暇がないほど、自分の人生を生きる
⑫子どもたちが希望が持てる社会にする
いますぐ、社会を変えることはイチ働く母には難しい。
しかし、母になって間もなく8年、確実に子育てを取り巻く状況は変わりつつある。
過渡期にいる私たち世代ができることは、子を持つ選択も子を持たない選択も尊重した上で、何かに苦しむ人々の心が少しでも軽くなるように、社会全体が様々な人に寛容になるよう働きかけることだ。
子を持ったことを後悔している人に、それでいいのだよ、とそばにいてあげられるように、自分が強くしなやかに人生を楽しむことだ。
子を持たなかったことを後悔している人に、子どもは社会全体の宝だから、あなたも誰かの成長に寄与しているよ、と伝え続けられるように、子育て話をむやみに隠さないことだ。
令和になっても、旧態依然の社会に嫌気がさしている人も多いだろう。
私もその一人。
ただ、この本のように、これまでのタブーに光が当たることは、今後増えていく。
あなたも私も、できることなら、後悔のない人生を。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
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より毒舌かもしれません。