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たくさん泣けたから前に進めた

あれは大学4年の春休み。


就職するまでの束の間、当時両親の住んでいた鹿児島の実家に帰省した。


破綻後、地獄のような一年を過ごして、なんとか卒業した。


もうこの先は余生。


何もかも諦めて生きていこう。


そんな風に思っていた。


ちょうどジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作「海の上のピアニスト」のテレビCMが流れていて、無性に観に行きたくなった。


「ニュー・シネマパラダイス」が好きだったし、何より、エンリコ・モリオーネのサントラが好きだった。


静まり返った映画館。


映画の冒頭にCMで流れた音楽が流れた瞬間から映画が終わるまで、私は号泣していた。



幼馴染がもうこの世にいないという悲しみ。



自分の人生がなんだか訳の分からない袋小路に陥ってしまった(と当時は思い込んでいた)悲しみ。



大切な仲間と縁が切れてしまった悲しみ。



この先もどうしていいか途方にくれている悲しみ。


自分に対する同情も多分にあっただろう。


しかし、破綻後、初めて心の底からちゃんと泣けて、私はやっと前に進める、そんなふうに感じることができた。


あの時の「海の上のピアニスト」には本当に感謝している。


先日、久しぶりに村治佳織さんのアルバムをダウンロードして、ニューシネマパラダイスのテーマを聴いて、当時のことを懐かしく思い出した。


悲しい時は我慢せずにたくさんたくさん泣いていい。


その後、おりにつけ、私はたくさん泣いた。


いつでも、たくさん泣いたあとは、心に少しだけ隙間ができた。


あれから23年。


未だに泣き虫の私がいる。


だけど、泣くことを自分に許している。


悲しい時に悲しいときちんと悲しむこと。


それは、私にとって、前に進むために必須不可欠なことだから。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


「海の上のピアニスト」の予告映像はこちらです。











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