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KKV Neighborhood

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KKV Neighbourhood『Talkin bout MoshPit & DanceFloor & Living』はライブやパーティーのフロアで感じたこと、心が動かされた音…
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2020年8月の記事一覧

「パブリック 図書館の奇跡」公共の意義を問うアメリカ映画を、クソパン小野寺伝助と語る

KKV Neighborhood #39 Movie Review - 2020.08.28 「パブリック 図書館の奇跡」(Hammerstone Studios / Living the Dream Films / E2 Films) review by 小野寺伝助、田中亮太 大寒波の夜、生命の危機にさらされた70人ものホームレスが図書館にたてこもる――アメリカ映画「パブリック 図書館の奇跡」が、ここ日本でもロングラン・ヒットとなっているそうです。パンク・シーンきっての読

自分で決めたゲームのルールを守り、楽しみ続ける 村上春樹「村上T 僕の愛したTシャツたち」

KKV Neighborhood #38 Book Review - 2020.08.24 村上春樹「村上T 僕の愛したTシャツたち」(Popeye books / マガジンハウス) review by カジュアルにおう吐 2020年の夏は、Tシャツを着ることのない夏でした。 正確にいうと、Tシャツに袖を通して、電車に乗って街へ出かけることのない夏でした。ご多分にもれず僕も、この春から在宅勤務に移行することとなり、まいにち軽装でいることは間違いないのですが、ビジネスカジュ

The 1975 / Having No Head 過去になった現在を未来の僕たちはどのように思い出すのだろうか?

KKV Neighborhood #37 JUST LISTENING - 2020.08.24 by 与田太郎 先月このMVを偶然見たとき、僕はまさかこれがThe 1975の曲だとは思わなかった。すぐに彼らのアルバムを聴き、さらに驚くことになった。アルバムに収録されているインスト・ナンバーの多さとそのクオリティーは確実に先端のダンス・ミュージックのもので、普通のポップ・バンドだと思っていた自分の思い込みは軽く打ち砕かれた。The 1975の音楽についてはまだ言葉にならない

この状況だからこそのハードコアでフィジカルなアルバム Boris『NO』

KKV Neighborhood #36 Disc Review - 2020.08.19 Boris『NO』(Self-released) review by 長谷川文彦 7月にリリースされたBorisの新しいアルバム『NO』は今のところBandcampのみでのリリースとなっている。これからCDやアナログ盤が出るかは今のところわからない。そのうち出るような気もするのだけど、待ち切れないのでダウンロードした。本来ならモノで持っていたい派ではあるけど、今回は待たなくてよかった

CHERRYBOY FUNCTION『suggested function EP#5』をXTALと与田太郎が合評

KKV Neighborhood #35 Disc Review - 2020.08.17 CHERRYBOY FUNCTION『suggested function EP#5』(ExT) review by XTAL、与田太郎 緻密さと鷹揚さが共存、トラックメイカーとしての成熟を示す(by XTAL) CHERRYBOY FUNCTIONと出会ったのは、2000年代が始まったばかりの頃で(当時は「権田山一雄」名義だった)、その音に触れた私と周辺の友人たちは、「天才が現れた

25年前のオアシスか? 正面突破していくケンブリッジ発6人組 Sports Team『Deep Down Happy』

KKV Neighborhood #34 Disc Review - 2020.08.12 Sports Team『Deep Down Happy』(Island) review by 小倉健一 It was Blur Vs Oasis, and we were Oasis. 2020年6月12日付けの全英アルバムチャートでは、25年前のBLUR対OASISさながらの熾烈な争いが繰り広げられていた。今回の対戦カードは、前週に続きトップの座を狙うLADY GAGAと、今作

NEHANN / Ending Song

KKV Neighborhood #33 JUST LISTENING - 2020.08.07 by 与田太郎 先日発売となったコンピレーション・カセット『Destruct Tapes #1』にも参加しているNEHANNの新曲が配信となった。僕は1月にはじめて彼らのライブを見る機会があったのだが、まさか2020年の東京でSISTERSやMISSIONのようなバンドに出会うとは思ってもみなかった。サウンド、そしてバンドとしての佇まいもある種オーラのようなものを纏っている。な

XTALヒストリー後編 孤独と自由を求めた『Aburelu』までの道

KKV Neighborhood #32 Interview - 2020.08.06 XTAL『Aburelu』 interview by 田中亮太 4年ぶりの新作『Aburelu』をリリースしたXTALへのロング・インタヴュー。長野の音楽少年がダンス・ミュージック・シーンの住人となっていくまでを語ってくれた前編に続いて、この後編では音楽的に大胆な変貌を遂げた『Abuelu』の背景に迫る。 2011年のビッグ・アンセム“Heavenly Overtone”――XTALさ

XTALヒストリー前編 長野の音楽少年、ダンス・ミュージックに狂う

KKV Neighborhood #30 Interview - 2020.08.04 XTAL『Aburelu』 interview by 田中亮太 TRAKS BOYSや(((さらうんど)))のメンバーとして活動してきたテクノ〜ハウス・シーンに基盤を置くDJ/トラックメイカー、XTAL。彼が4年ぶりにリリースしたニュー・アルバム『Aburelu』には、これまでにリリースしてきたフロア・バンガ―なダンス・トラックとは一味違う、生々しさと端正さが奇妙に同居したアンビエント~

Yard Act / Fixer Upper 資本家階級への怒りを込めたダンス・パンク

KKV Neighborhood #31 Just Listening - 2020.08.04 by 田中亮太 リーズ出身の4人組によるダンサブルなポスト・パンク。資本家階級への怒りと嘲りを鋭いアイロニーに込めて。

Psychoheads / Bad Tuning

KKV Neighborhood #6 JUST LISTENING - 2020.05.14 by 田中亮太 今年の1月に足を運んだWOOMAN主催の〈Destruct Session #1〉は、自分にとって発見の多いイヴェントでした。彼らが呼んだ若いバンドーー初期オアシスのチンピラなラッディズムとトラップ以降の殺伐したトラッシュ感を掛け算したようなUsや、ゴスやダークウェイヴの要素は強いながらも独自の英国ロック的な色香にWINOの衝撃を思い出したNEHANNなどーーは日

リバーブで溶かす -創造性と歴史の話- 中村公輔「名盤レコーディングから読み解くロックのウラ教科書」

KKV Neighborhood #5 Book Review - 2020.05.13 中村公輔「名盤レコーディングから読み解くロックのウラ教科書」(リットーミュージック) review by 中村明珍 第一章 みなさんはギターを壊す派でしょうか。それとも時に話しかけ、添い寝する派でしょうか。 僕はどちら派でもあります。ギターでなくて、人に対してだったら同時にこんなことをやっていたらかなりヤバいやつですが、実際ヤバいやつだったと思います。 ギターに対して、どういう

Ratchild / 亡霊とダンス

KKV Neighborhood #4 Just Listening - 2020.05.12 by 田中亮太 東の果て〈東東京下町地区〉を拠点に活動するハードコア・バンドが新曲をリリース。不穏さ渦巻くギター・サウンドに焦燥感に溢れた2トーン・ビート……と書くとスタンダードに聞こえますが、アンサンブルに身体的な快楽性がともなっているところが最高です。僕はダンス・ミュージックとして聴きました。かっこよさをキュートさを併せ持つフロントマンのEndrattは、いまもっともパーティ