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Kae
2022年12月31日 10:08
泣きたくなるほど素敵な家に出会ったことがあるだろうか。部屋の片隅に差すわずかな光までが美しく、思わず胸がつまってしまうような。かつての溶岩地帯に立つその家は、わたしにとってまさにそんな場所だった。◇メキシコシティの中心部からおよそ15km南へ下り、静かな住宅街に立つ一軒の邸宅前で車を降りる。待ち合わせたガイドとともに、荒々しい表情の石塀をたどり木製の門をくぐった。カサ・ペドレガル。
2022年10月7日 05:06
メキシコに来て好きになったものの一つに、ルイス・バラガンがある。すらりと背が高く、生涯独身を貫いたメキシコの天才建築家、ルイス・バラガン。彼の残した作品のなかに足を踏み入れるたび、日常から離れ、心の波が穏やかになっていく。今回はそんなルイス・バラガン最後の傑作と言われる作品、ヒラルディ邸を写真と共に紹介したい。◇首都メキシコシティで暮らす人々の憩いの場、「チャプルテペックの森」のす
2021年9月23日 06:31
「メキシカンピンク」と呼ばれる色がある。スペイン語で、Rosa mexicano(ロサ・メヒカノ)。当たる光の加減によって、時に可憐な少女のように、また時に妖艶な女性のように見えるこのピンクに、わたしは少しばかり思い入れがある。◇夫に転勤辞令が出たのは、2019年の春だった。臨月だったわたしは日本に残り、娘を生んだ。乳児が打つ予防接種は、約5ヶ月で一区切りを迎える。そのタイミングで