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メヒコ暮らしの話をします

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エネルギーに溢れていて、どこか危ういけれど、惹きつけられてしまう。メキシコはそんな国です。
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#海外転勤

メキシコ生活のはじまり

メキシコ生活のはじまり

2020年4月。いま私はメキシコシティにいる。

この街で暮らすようになって半年。太陽光が痛いほど強くて、時間の流れがとんでもなくゆっくりで、ものすごく適当だけどなんだか憎めない街。ここで起こる出来事は、日本で過ごした30数年の人生で培った常識をいとも簡単に覆し、「ほっこり」とはかけ離れた違う何とも言えない脱力感と一緒に、小さな笑いを誘う。

「どうでもいいけど、ちょっとおもしろいから誰かに話した

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新鮮食材が揃うメキシコの青空市場『ティアンギス』

新鮮食材が揃うメキシコの青空市場『ティアンギス』

夫と自分の食事に、そして娘の離乳食にも欠かせないのが新鮮な肉や野菜だが、メキシコでの生活を始めて間もないころ、スーパーマーケットでヒョロヒョロに痩せ細ったにんじんや萎れた葉野菜を見てがっかりした。そんな私を見た友人が、市場に連れて行ってくれた。           

『ティアンギス』と呼ばれるメキシコの青空市場は、週に一度、街のあちこちで開かれる。普段は何もない路上にずらりとテントが立ち並び、お

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標高2250mの街で暮らすということ

標高2250mの街で暮らすということ

メキシコシティは富士山5合目とほぼ同じ高さに位置している。

引越しが決まったあとこの事実を聞いても、私はまだ高地に暮らすということが自分の生活にどのように影響するのか、よくわかっていなかった。

ただ、メキシコシティでの生活を経験された方からの「圧力炊飯器と圧力鍋はぜひ持って行った方が良い」というアドバイスに従い、ドタバタの引越し作業の中で、昔使っていた圧力炊飯器を引っ張り出し、また父が貯めに貯

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メキシコ人にとって大切な『ビタミンT』

メキシコ人にとって大切な『ビタミンT』

メキシコシティの街中を歩くと、そこかしこで目に付くのが屋台。歩道の端に簡易テントやビーチパラソルが立てられ、その下でエプロン姿のおばちゃんがきびきびと動き回っている。売っているものは店によって異なり、それぞれ特色がある。メキシコ伝統のスープを売る店があれば、駄菓子専門店もある。フルーツジュース屋では、ずらりと並んだ大きな透明のプラスチックボトルから、キウイやマンゴー、グアバなどのフルーツ入りシロッ

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『超のんびりメキシコ時間』に感じる敗北感の正体とは

『超のんびりメキシコ時間』に感じる敗北感の正体とは

メキシコに引っ越すことが決まったことをスペイン出身の友人に話したとき、真っ先に言われたのが「ものすごく『のんびり』しているから覚悟して行った方が良いよ。」という一言だった。正直言って、日本人の私からするとスペインの人たちも決してのんびりしていないわけではないように思えるが、メキシコ出身の友人を複数持つ彼女に言わせると、どうやらその比ではないらしかった。そんなわけで、なんとなく前々から抱いていた『メ

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我が家にやってくる夕方の救世主

我が家にやってくる夕方の救世主

メキシコで最も暑い季節がもうすぐ終わろうとしている。3月中旬から連日気温は30度を超え、マンション最上階で全面窓ガラスに囲まれている我が家のリビングは、朝から燦々と太陽光が差し込み、連日35度近い室温になっていた。

この時期、日中はめいっぱい外に出て、日影で涼んで乗り切りろう、という事前の目論見は見事に外れ、暑さが本格化したちょうどその頃から外出自粛の徹底が呼びかけられ、飲食店や商業施設は営業停

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最強の観光スポット!メキシコのスーパーマーケットの面白さ

最強の観光スポット!メキシコのスーパーマーケットの面白さ

最近の海外旅行ガイドブックを開くと、コスパの良いお土産が見つかる場所として現地のスーパーマーケットがよく紹介されている。私が暮らすメキシコも旅行で訪れた際にはぜひスーパーにも立ち寄ってみることをおすすめしたい。喜ばれるお土産が見つかるかどうかは別として、観光地では滅多に出会えないような、『カルチャーショック』を体験できるかもしれない。

我が家の徒歩圏内には3つのスーパーがある。1つ目は富裕層向け

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優しくて、懐かしくて、幸せなもの。

優しくて、懐かしくて、幸せなもの。

外国で恋しくなるもの。それは日本のパンの味だ。

ふかふかと柔らかく、噛めば小麦とミルクの香りが広がる食パン。カリカリとしたお砂糖の内側が、ふわりと軽いメロンパン。冷たいソースの塩気とほのかなパンの甘さが絶妙にマッチした焼きそばパン。

日本のパンは優しくて、懐かしくて、ちょっと幸せな気持ちになる。

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メキシコシティにもパン屋はたくさんある。

バリッと力強い固さのバゲットや、サクサクとバタ

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楽しい食事の終わりに、チップを。

楽しい食事の終わりに、チップを。

1,000円のお茶代に100円。1万円の食事をして、1,000円。メキシコの飲食店で支払うチップの相場だ。

テイクアウトやセルフ形式のカフェでは不要だが、店員が席まで注文を聞きに来てくれる店では、基本的にチップを支払うことがマナーとなっている。

チップなんて面倒なことをしないで、料理の価格をサービス料金込みで設定したり、日本のように『サービス料10%』を客に見えるところに明記して請求すればいい

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