スローライフ作品が心に沁み渡る人間は自分に余裕がある人なのか、そうではない人なのか
私は、スローライフ作品というものが大好きだ。慌ただしく過ぎていく日常の中で、大切にしなければいけない事はほんのすぐそこにあったんだ、と気付かされる。例えば…
・朝起きて浴びる太陽の光
・テレビを見ずにただごはんを頬張る時間
・食べ物をより一層引き立たせる食器
・シンプルで見栄を感じさせない洋服
・花や植物を愛でる心
・綺麗な空気を吸って吐く行為
ふと、自分の今の生活と比較してみる。
朝なんてカーテンを開けるのを忘れる日もある。ごはん時は必ずテレビを見ている。食器に関心もない。自信が無い故に洋服で見栄を張ろうとしている自分がいる。花や植物を愛でる心の余裕なんてない。
深呼吸。最後にしたのは、いつだろう?
私が好きな作品のひとつに、パンとスープとネコ日和というものがある。
小さな食事処を営んでいた母親を突然亡くした元編集者の娘(小林聡美)が、悩みながらもまずは自分のできる事から始めようと、今の仕事を辞め、母親がやっていた店を改装しサンドイッチとスープだけを提供する小さな店を始めるのであった。
そんな日々にそっと寄り添ってくれる近所の人々、近くで純喫茶を営む意地悪なようでそうじゃないママ、そしてフラッと現れるべくして現れたような、野良猫。
見る人によっては、つまらないんだろうな、と思う。でも私は好きだ。
この作品レビューに、こんな事が書いてあった。
心に余裕がある人だけ観てください。
私は、歯の奥に魚の骨が挟まったような違和感を覚えた。
自分には心に余裕があるんだって、自信を持って言える人っているのだろうか?
心の中のガソリンが切れるのは、いつも突然なのではないだろうか?
私は思い出した。この作品を見て、泣いたのだ。勿論感動的なシーンなんてない。(そういった劇的な展開はない、という意味で)だが、その瞬間に、ああ無理してたんだなあと自分自身を抱きしめたくなった。
私がレビューを書くとしたら
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心のガソリンが切れる前に、観てほしい作品です。
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この作品が、多くの人の空っぽになりそうな心に沁み渡りますように。
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